表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第5章 楊震四知
42/1274

第32話 権能

 リョウカ様とエルーちゃんと廊下に出て付いて行く。


「改めて、私はタチバナ・リョウカ。(すず)しい(はな)と書いて涼花(りょうか)さ」


「タチバナ……」

「ああ。母上は第98代聖女の(たちばな)(あおい)だ。もっとも、父上はただの街の花屋さんだけどね」


 葵さんに娘さんがいたんだ……。


「そういう君は、あの大聖女さまの弟子だそうじゃないか。サクラ様に訊いたよ。私達はどうやら、聖女と縁があるみたいだね」


 縁があるどころか本人なんだけどね……。


「そういえば、これもサクラ様から聞いたんだが、大聖女さまは刀も扱えるのかい?」

「ええ、まあ……」


 何せ2年間遊んでいたからね。

 全ての武器を一通りマスターするくらいのことはやっていた。


「そうか!ちなみに弟子のキミは扱えるのかい?」


 ソラと全く一緒だとバレるかもしれないよね……。

 しばらくはシエラは魔法全般だけ使えるってことにしておこうかな。


「い、いえ。私はまだ……刀は教わってないです……。すみません」

「そうか……。いや、こちらも立ち入ったことをすまない」


 凄く残念そうな顔。心苦しい……。




 聖徒会室の扉を開けると、ミア様がいた。


「来たね。シエラちゃん、エルーシアちゃん」

「えっ、ミア様!?」


「ミアとは知り合いだったのか」

「ミア様とは同じ朱雀寮なんです」

「ああ、なるほど」


「ふっふっふっ、想像力が足りないぞ涼花クン!」

「お前は何様だ。さ、中へどうぞ」


 ミア様と涼花様は仲が良いみたいだ。


「「失礼いたします」」


 聖徒会室にはソフィア王女の他にも、知らないメンバーがいた。


「聖徒会へようこそ。まずはおかけになって」


 座ると、周りのメンバーも席に座る。




「さて、聖女学園の聖徒会長には特別な権限があります。それは聖徒会長として1回だけ、学園に関することなら何でもできる権限です」


 嫌な予感がしてきた……。


「過去の聖徒会長は校庭に花壇を作って百合の花を植えたり、同級生に告白するためのムード作りを全校生徒に協力してもらう、なんて使い方もあったそうです。サクラ様が会長だった時は学食に揚げパンがないことを嘆かれ、権限で揚げパンを学食のメニューに追加したそうですよ」


 サクラさん、何してんの……?

 いや揚げパン、美味しいけどさ……。


「私はこの権限を貴女に使おうと思います」

「は……?」


「聖徒会副会長には2席、用意されています。基本的には副会長の座を持った2年生は、次期会長となります」


 つまり、涼花様は次期会長ということか。


「その副会長の2席目を私の聖徒会長権限でシエラ・シュライヒさん、貴女に着いていただきます」


 既に胃が痛い……。


「拒否権はない、ということですね……?」

「縛るようなことをしてすみません。ですが、私はそうした方が学園のため、そしてシエラさん、貴女のためになるのではないかと思ったからです」


 僕の事情を知るソフィア王女が言うのなら、そういうことなのかもしれない。

 一応サクラさんよりは信用できるしね……。


「分かりました」

「ふふ、話が早くて助かります。それと、シエラさんのメイドのエルーシアさんにも書記として枠を用意していますが、どうしますか?」

「シエラ様が入られるのでしたら……私、やります!」


 元気良く返事をするエルーちゃん。


「ありがとうございます。では、自己紹介といきましょうか。私は3年会長のソフィア・ツェン・ハインリヒです」

「3年書記のライラ・クロース。よろしくお願いします」


 眼鏡の女性が淡々とした声でそう答える。

 クロースって確か学園長の家だよね?


「ライラ様はクロース辺境伯のお生まれで、学園長の姪にあたるのよ。私は2年広報委員長のミア」


 あの戦闘狂の親族が、こんなに物静かな人なんて……。

 いや、それはライラ様に失礼か……。

 どちらかというと学園長がどうかしているだけだろう。


「2年副会長の橘涼花だ」

「1年のシエラ・シュライヒです」

「1年のエルーシアです。よろしくお願いします」


「さて、自己紹介が済んだところで、早速ですがシエラ副会長に最初の仕事をお願いします」


 ソフィア会長がそう言うと、ライラ様から紙を数枚渡された。


「こちらは一年生の聖徒会希望者の一覧です。この中から一名、今年の風紀委員長を決めていただけますか?」

「会長、事情を説明するのが先でしょう?実は今風紀がいなくてね。私が副会長になったせいでもあるんだが……。今は一応私が副会長と兼任しているが、できれば長くいることができる一年生に風紀委員長を任せたいと思っている」






 ペラペラとめくると、その中に見知った人がいた。


 僕は真っ先に信用できるその人を指名することにした。


「私は、リリエラ・マクラレンさんを風紀委員長に推薦いたします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ