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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第308話 興味

「今や当たり前のように使われている魔法ですが、その発動までの工程(プロセス)には一つ一つ意味があります。そして魔術大会の代表者の方には説明いたしましたが、魔法に関してまだまだその仕組みで知られていないことが多くあります」


 真桜ちゃんが提唱した魔法陣と無詠唱についてのお話を急遽取り入れることになり、聖女院編集部の皆さんには教本の再編をお願いした。

 編集長のエフィーさん達には本当に頭が上がらない思いだ。


「魔法が使えないから必要ないと思っている人でも、その知識を身につければ魔法使い相手の戦い方も考えられますし、魔法を使う魔物もいるので決して不要な知識とはならないと思います」

「……」


 真剣に聞いてくれているのはいいことだけれど、反応がないとちょっと怖い……。


「魔法の発動までのプロセスは、大きく分けて4つあります。これは第101代柚季真桜様が提唱されたもので、聖女院で既に立証もされています」

「シエラ先生、話を遮ってしまいすみません。少しよろしいでしょうか?」

「涼花様、どうぞ」


 涼花さんに『先生』と言われるのは少しむず痒い……。


「真桜様はまだ生まれてまもないはずですが、提唱ということは、既に言葉を発することが……?」

「いい質問ですね。真桜様は魔法で文字を書いて伝えられました」

「いや、魔法なら尚更詠唱が必要では?」


 ふふふと笑うクラスのみんなに、僕が面白いギャグでも言ったかのような反応だ。

 それが僕に対してなら咎めるようなことはしないけど、今回は真桜ちゃんだったので我慢できなかった。


「実例を見せましょう」


 僕が目を瞑り杖を振るうと、魔法陣が現れて描画(ドローイング)の魔法が発動する。

 僕の愛しのマリちゃん先生がえっへんとどや顔している絵を描いて見せた。


「これが真桜様が考案した、無詠唱魔法です」

「無詠唱魔法……!?」

「す、すごい……」

「でも、どうしてマリちゃん先生……?」

「シエラ先生の趣味?」


 なんで僕の癖が露呈してんの……?

 普通、「クラス担任だから」とかが最初に来るところでしょ……。


 けれど、授業そのものに興味を持ってもらうという作戦はうまくいったようだ。


「私の授業では、聖女院が作られたこの教材について、その現象の仕組み、戦闘での使い方、対処法など多角的に説明していこうと思います」


 僕はエリアヒールを無詠唱で発動し、前の授業の戦闘実技で体力が減り眠くなっていたクラス全員の体力を回復した。


「私の授業では居眠りはさせませんから、覚悟しておいてくださいね」

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