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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第301話 語彙

「全く、朝からとんだ恥をかいたよ……」

「そう思うなら、これからは早起きできるようにしてください」

「エレノア様……」


 うるうるとしているミア様。


「今生の別れじゃないさ。また来るよ」

「絶対ですよ!」

「ああ。約束さ」




「もう、エレノア様が遅いせいでワープ陣が使えなかったじゃないですか……」


 本当は一年生が起きてくるまえにワープ陣で聖女院に向かうつもりだったのだけれど、案の定エレノアさんが起きられなかった。

 一年生にはできれば僕のことは知られたくなかったので、普通に正門から出ることにした。


「いつもお疲れ様です」


 正門の警備をしている門番さんに挨拶をして出る。

 正門から出るのが久しぶりなのも、普通におかしいことなんだけどね……。


 外に出て誰もいない通路でウィッグをはずし、着替える。


「そうしていると、まるで魔法少女みたいだな」


 いや、少女じゃないから……。


「分かっててそういうこと言うの、やめてくださいよ」

「好きな娘ほどいじめたくなるというだろう?」


 娘じゃない娘じゃ。

 エレノアさん、最近好意を隠さなくなったな……。

 少し余裕がなさそうな気もするけど、気のせいかな?




「ソラ様が正門から帰られるなんて……!」


 聖女院の正門の門番さんまで感動してしまっていた。


「なんか、すみません……」


 便利すぎるのもあまりよくないのかもしれない。




「ソラ様とエレノア王女殿下がいらっしゃいました」


 執事さんに連れられてサクラさんのもとに案内してもらう。


「あら、いらっしゃい。珍しい組み合わせね」

「お久しぶりです、サクラ様」

「ええ。それで、何の用?」

「真桜ちゃんが無詠唱で魔法を使ったとエルーちゃんから聞いたんです」

「むっ……」


 サクラさんは真桜ちゃんを抱き抱え、自分の胸元に引き寄せる。


「ま、真桜は渡さないわよ!この悪の秘密結社(ロリカンパニー)めっ……!」

「あうっ!」


 なんか真桜ちゃん、楽しそう……。




「真桜ちゃん、無詠唱魔法について教えてくれないかな?」

「あい」


 なんだか真桜ちゃん、だんだん語彙増えてない?


 いつものように真桜ちゃんがカーペットに置かれた50音表を指差して言葉を作っていく。


「だー!」


 突如、両手を上げた。

 なんか自棄になっている……。


 確かに一文字一文字起こすのも、彼女にとっては面倒だよね。

 とはいえそれだけのためにわざわざ神様に通訳してもらうのも気が引ける。


「真桜ちゃん、こういうのはどうかな?」


 僕がこそこそと作戦会議すると、曲がらない首を頑張って上下して頷いたポーズを取っていた。


 真桜ちゃんはアイテムボックスから『精霊の首飾り』を取り出しそのまま首なのかお腹なのかわからない部分にかけると、そのまま指を光らせて魔法を放った。


『ワレワレハチキュウジンダ』


「く、空中に……文字をっ!?」

「まさか、無詠唱魔法で書いたの!?」


 初めて喋った……いや初めて書いた言葉になるものが、どうしてそのチョイス……?


 とんでもないことをしょうもないことに使って自慢げにしている真桜ちゃんは、なんだか人生が楽しそうだった。

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