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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第2章 一新紀元

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第28話 交友

 マリエッタ先生にぞろぞろと付いていくと、聖女院にも劣らないくらいの食堂が現れた。


「ここが我が学園の食堂ですっ!」


「食堂で何を……?」


「皆さん先ほどの模擬戦でっ、気になる人ができたんじゃないでしょうかっ? そんな人達と仲良くなるためにっ、お茶を囲みながらをお話しする機会を設けようと思いますっ! 各自お茶を入れたらっ、好きなように席に座ってくださいっ!」


 食堂には円卓のテーブルにがいくつもあり、それぞれに椅子が5つあった。

 

「隣、座るわね」


 リリエラさんが左隣に座る。


「ええ、どうぞ」


 なんだか令嬢にでもなったような会話だ……。

 いや、侯爵令嬢ではあるんだけどさ……。


 と、エルーちゃんも右隣に座ってきた。


「エルーちゃんも自分の交流をしてきていいんだよ?」


「いいえ! 先日、約束しましたので」


 昨日の約束を守ってそばにいてくれる。

 申し訳ないとは思うけど、同時に隣にいてくれることへの安心感も大きかった。


 気が付くと席が埋まっており、僕から時計回りにリリエラさん、イザベラさん、ノエルさん、エルーちゃんと座っていた。


「あら、偶然にも入試のトップ5ですね」


「自己紹介は……不要でしょうか?」


「いえ、私達は社交界でもお付き合いはありますが……。 そちらのお二人とは、はじめましてですから」


 僕とエルーちゃんに視線が集まる。


「シュライヒ侯爵が娘、シエラと申します」


「シエラ様のメイド、エルーシアです」


「あら? エルーシアさんはシエラさんのメイドでしたのね」


「メイドなのに頭がいいなんて……。 将来は聖女院のメイドに?」


「は、はいっ! なれたらいいなとは思っています」


 というか既に聖女院のメイドなんだけどね……。


「……というより、シエラさんの前ですべきではなかったわね」


「いえ。 私も、エルーちゃんには幸せになって貰いたいですから。 それがエルーちゃんの望みなら、応援していますよ」


「シエラ様……!」


 なんだか感動的な話のようになってしまったけど、作り話なのが申し訳なくなってくる。


「これが女の友情というものね。 とても素敵だわ……!」


 男なんだけども……。


「ええ! 私の大事なお友達ですから!」


「シエラ様……!」


「ふふふ、仲がよろしいのね。 私はノエル・ライマン。 ライマン公爵の娘で、エルフ族です。 リリエラさんとは同じ中等学校でした。 それから、これから皆さんとお友達になるのですから、話しやすい口調で構いませんよ?」


 まるでお母さんのような微笑みを浮かべるエルフのノエルさん。

 いや、実母はこんなじゃなかったから想像でしかないけどね……。


「それは助かります。 私はフォークナー伯爵家のイザベラ。 皆さんとは違う中等学校でしたが、お二人とは社交界でお会いしていますね。 魔法は苦手ですが、槍一筋で頑張っています」


 この間、聖徒会室にいた人とまではいかないけど、イザベラさんが槍を持ったときの姿はとても凛々しかった。


「私はリリエラ・マクラレン。 マクラレン侯爵家が娘よ。 私、シエラさんとは是非お友達になりたいと思っているわ」


「それは私もです。 学園きっての天才ですからね」


「ふふふ、それは教えている人が素晴らしいからでしょうね」


「リリエラ嬢はシエラ嬢の師を知っているのですか?」


「もちろん! 皆さんご存じの大聖女ソラ様のお弟子さんなのですよ!」


「「ええええっ!?」」


 もう僕の8割は嘘で出来ているんじゃないかな……。


「……驚きました。 ですが、満点を取り、学園長を倒したことに納得しました」


「ソラ様がお弟子さんを取られていたとは……。 ということは、一番弟子……ということになるのですよね?」


 ノエルさんの問いは都合がいいし頷いておく。

 いや、一番弟子はどっちかというとエルーちゃんだと思うけどね……。


「なるほど……。 でも、リリエラさんが仲良くなりたいのは()()()()()()()()()()()()?」


「えっ?」


「なっ!?」


 ニヤケたノエルさんにサクラさんのような意地悪さが垣間見えた。


「リリエラさんは、聖女院執政官であらせられる、ルーク様のことをお慕いしていますのよ?」


「ええっ!?」


 そうだったの!?


 思わずリリエラさんの顔を見ると、顔が真っ赤になっていた。


「わ、私はそんな下心でお友達になりたいわけではっ! ですが……最近のルーク様はどうですか? その……お披露目式でソラ様の隣におられたのが映って以来、お顔を見ていないものですから……」


 今まで優美な佇まいだったリリエラさんが、急に可愛らしい少女のようになっていた。

 真っ赤になりながら、聞きたいことを聞いてくる。


 ど、どうしよう……。

 聖女院での出来事を全部話すのはNGだ。


 いつもサクラさんに苦労されています、なんて言って幻滅させたくはない。

 それに、苦労人代表のルークさんの悪口になるようなことなんて言いたくないよ……。


「そうですね……ル……()()()は、いつも聖女様の補佐を頑張っていると聞いておりますよ」


「そうですのね! もっとルーク様のお話、お訊きしたいわ!」


 う……笑顔が眩しい……。


「ふふっ、時間はまだ沢山ありますもの。 シエラさん、お聞かせくださる?」


「え、ええ。 も、もちろん……」


 こうして僕は、まるで爆弾処理の紐を切るように言葉を選んだ会話をリリエラさんからねだられるのだった……。

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