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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第2章 一新紀元

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第26話 孤立

 クラスは冒険者ランクのようになっており、入試の結果順にSからA、B、C、D、E、Fクラスと分かれるそうだ。

 それぞれの習熟度に合った講義をするという考え方は向こうの世界と同じように感じる。


 祝辞と着替えで教室に向かうのが遅れてしまった。


 ガラララッとSクラスのスライドドアを開けると、既に先生が居て、授業が始まっていた。


「「…………」」


「……ええと、その……」


 後から教室に入ると全員の視線を一気に受けるから嫌なんだよね……。


 クラスにいた半数くらいの人は、あの日にソラとして制服を渡した人みたいだ。

 だけど、今の僕はシエラ。

 昨日渡した人とは別人でいなければいけない。


「あらっ? あなたがシエラさんですねっ! ええとっ、そこの席に着いてくださいっ!」


 少し背の低め…………いや低すぎる。


 教壇には女の子の身長と同じくらいの椅子が置かれており、その上に女の子が背伸びをしながら教壇の机に左手を置き、右手はビシッと空席を指差す。

 ええと……教壇にいるから、おそらく先生……でいいんだよね?


「は、はい……かしこまりました」


 皆にジロジロと見られながら、窓際に空いていた最後の席に座る。

 完全にアウェーだ。

 そしてあの、品定めされているかのような視線。


 だんだんと学校のあの嫌な感覚が蘇ってくる……。


「さてっ、私はマリエッタっ! 見ての通り小人(こびと)族でっ、このSクラスの担任ですっ! あとあとっ、担当教科はクラフト学ですっ!」


 ゲームでもクラフトを教えてくれる役目だった小人さんこと小人族。小さいけど見た目にそぐわず力持ちなのが特徴だ。


 身振り手振りで大袈裟に表現するも、如何(いかん)せん体が小さいので愛らしい。

 幼女嗜好(ロリコン)の癖はない筈だけど、マリエッタ先生の一挙一動にはとても癒される。

 この先生のクラスに配属になっただけでも、試験を頑張っていてよかったと思える。


「マリエッタ先生は、なんとお呼びすればよろしいでしょうか?」


「はいっ、あなたはノエルさんっ! いい質問ですねっ! 生徒にはよくマリちゃん先生とかマリエちゃんとか呼ばれてますっ! 分かれば何でもよいですがっ、先生と付けてくれると嬉しいですっ!」


 にこっとはにかむ笑顔もなんというかこう……母性をくすぐる。

 僕、男なのに……。


「授業は明日からですっ。 ですから今日はみなさんの交流を深めるためにっ、2つほどレクリエーションを行おうと思いますっ! 休憩時間後っ、多目的ホールに集まってくださいっ!」


 椅子から降りたマリエッタ先生は、しゅばばばっと足を素早くばたつかせて教室を後にする。

 先生が廊下を走っていいの……?


 でも体が小さければ足も小さい。

 人間が歩く一歩は小人族にとっては二歩必要になるだろうし、マリエッタ先生にとっては走るくらいでちょうどいいのかもしれない。



 ◆◆◆◆◆



 先生が出ていくと皆立ち上がり、思い思いのグループを作り話し始める。

 なんとなくそんな気がしてたけど、既にみんなは先生がくる前に周りの人達と自己紹介を済ませていたということか……。


 エルーちゃんも既に話し相手がいるらしく、いちグループの輪に入っていた。

 流石に僕が割り込んでそれを台無しにはしたくはない。


 完全に孤立し、窓際で外を眺めるしかなかった。


 結局、二回目の高校生活も踏み切りは失敗のようだ。


 でも以前と比べたらいじめられてない。

 その点では居心地に関しては雲泥の差がある。


「ごきげんよう。 貴女がシエラさんかしら?」


 リリエラさんが声をかけてきてくれた。

 きっとソラとして会った時のことを律儀に守ってくれたのだろう。

 わざわざ自分のグループを抜けて声をかけてくれたので、とても申し訳ない気持ちになった。


「ええ、そうです」


 リリエラさんが尋ねた瞬間には僕の方を向くだけだったのに。


「ほら、噂の満点の……」


「学園長に勝ったっていう、あの……?」


「満点なんて、流石に不正よね……?」


 僕が応答した瞬間にクラスの全員がこちらを見ており、やがて陰口が聞こえてきた。


 まあ、不正とも言えなくはないよね……。

 僕もその通りだと思ったので、とくに言い訳はできなかった。


「貴女達……」


 カーン、カーン。


 リリエラさんが何かを言おうとしたが、予鈴がなってしまったので有耶無耶になる。


「……行きましょう」


 僕達は無言で多目的ホールに向かうのだった。

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