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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第256話 破壊

「ん……。ここは……」


 白い天井。

 ここは確か……聖女院の医務室?


「ソラ様っ!」

「師匠っ!」


 がばっと抱きつく二人の弟子。


「エルーちゃん、ステラちゃん……」


 そっか、僕……帰ってきたんだ。


「心配かけちゃって、ごめんね」

「勝手に倒れて、心配したんですよぉっ!」

「本当に御無事でっ……。ぐすっ……おかえりなさい」

「二人とも……ただいま」


 泣きつく二人を安心させるように、優しく抱き締めた。




「そういえば、どうやって帰ってきたの……?」

「シルヴィア様が私達を運んでくださったそうです」

「シルヴィアさんが……?」


 聞くと、僕が魔力尽きて倒れたあと、回収してくれたのだそうだ。

 魔法を使う前にエリス様の声が聞こえたし、多分エリス様が呼んでくれたのだろう。

 僕が起きるより前にここを出ていったそうだ。


「起きるまで待ってくれればよかったのに……。お礼、言いたかったな……」

「少しだけ、シルヴィア様のお気持ちが分かる気がします……」


 目を細めるエルーちゃん。

 開いた窓から入ってくる風に髪が靡いて、思わずきれいだと思った。


 女性同士、話して仲良くなったのだろうか?

 シルヴィアさん、僕にはほとんど顔を合わせてくれないから、少し羨ましい。




「私……強くなりたいです」

「わ、私もっ!」


 操られた事でエルーちゃんの考えが変わったみたいだ。


「でも休みは残り一日しかないし、合同修行はまた今度かな……」

「そ、そういえば二人とも学生でしたねぇ……。普段しっかりしているから忘れそうになっちゃいますぅ……」

「でしたら本日は、如何なさいますか?」

「またステラちゃんとは暫く会えないからね。今日はステラちゃんの修行かな」

「でもソラ様……お体が」

「大丈夫。頭痛はあるけど、ただの魔力消耗だから」


 僕は秘薬で魔力を取り戻すと、先ほどまでの頭痛がだんだんと引いてきた。


「ふぅ……。それに、今日の修行はぼ……私は動かないから」

「?」


 二人して首をかしげる姿は、ずるいほどに可愛らしい。




 着替えてからやってきたのは聖女院の外れ、訓練場。


「あれっ?アレンさん達、いないな……」

「今日はお休みなのでは?」

「もしかしたら、以前勧めた迷宮に入ってるのかも。でも丁度いいや」

「丁度いいって、どういうことですかぁ?」

「アレン様が目的ではなかったのですか?」

「うん。どちらかというと今欲しかったのは、『破壊活動を行ってもある程度許される広い土地』だから」

「ひぇぇ……!」

「ぶ、物騒すぎませんか……?」

「い、一体……何をさせられるんですかぁっ!?」


「御体に障りますよ」

「いや、だから私は動かないってさっき言ったでしょ……」

「う、動かなくても師匠なら破壊活動はできるじゃないですかっ!」


 僕を何だと思ってるのさ……。


「そんなことしないよ」

「できない、とは言わないのですね……」


 口さえ動けば魔法は撃てる。

 それに口を動かさなくとも、以前やった身体強化で遠くのものに干渉したりもできるからね。

 そもそもそんなことして何の訓練になるのさ……?


「やっぱり鬼ですっ!悪魔ですぅっ!」

「ステラおばあちゃんや、悪魔はさっき倒したでしょう?」

「まだぴちぴちの二十歳ですっ!」


 まあいいや、さっさと()()()()()()に来てもらおう。


『――光を抱く崇高なる神龍よ、今ひと度吾に力を貸し与えたまえ――』

「そ、その詠唱は……!?」

『――降臨せよ 教皇龍(ハープスト・ドラゴン)――』

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