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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第255話 浄化

「リカバー」


 凍り付いた右腕を治す。


「ワタクシの最高傑作が、破られたッ……!?」


 大分体力を削られ、エルーちゃんまで操られた。

 僕もそろそろ黙ってやられているわけにはいかなかった。


『――(うつ)()の万物を覆滅(ふくめつ)せし神よ、今ひと度(われ)に力を貸し与えたまえ――』

「は……!?」


 鬼丸をアイテムボックスに仕舞って右手に大典太を構え、左手には漆黒のワンドを取り出して最上級魔法を放つ。 


『――ホーリーデリート――』


 半径20メートルにもなる広範囲の光の筒が、今にも逃げ出そうとしていたインキュバスを逃さず中央にとらえ、焼き尽くす。


「グアアアアアアッ!?ま、まさかアナタが……我が主を殺した、あの忌々しい大聖女ソラッ……!?」


 今更気づいてももう遅い。


「だがワタクシにはッ!!これまで地下深くで数十年と溜めに溜めた闇の魔力がありますッ!!!ダークオーラ!!」


 そう来ることもわかっている。


「――光気解放――」


 僕は光輝く大典太を前に突き出す。


「――光刀、奥義――日輪――」


 高速の突きがレーザービームのように打ち出される。


「そ、それはッ!?あの忌々しい聖女シズクの技ッ!?」


 やっぱり、第50代の(いつき)(しずく)さんは大典太の奥義を知っていたようだ。


「魔王とともに、あの世へ行きなさいッ!!」


 光の魔力を帯びた鋭い刃は、そこに存在するすべての固体を粉々にした。


『グ、グァァァアアアアアアアアアアアアッ!?!?』


 魔石とともに全身が粉々になっていくも、拡声魔法でどこからか声が聞こえてくる。


『ですが、先ほど私の放った暗黒催淫(ダーク・ヒプノシス)は今まで貯めた魔力をほぼ使いきってこの国全土を覆う大魔法!私が滅んだとて、私の暗黒催淫は消えません!!そして、暗黒催淫が全身に回り切ったとき、その体を媒体として、私は復活を遂げるのですっ!!!』


 「クハハハハハハ!!!」と地下内に響き渡る雄たけびとともに、インキュバスは消滅した。

 ドロップ品の『媚薬』は……またアイテムボックスの肥やしになるだろうな……。


「か、勝ったんですかっ……?」

「うん。でも、まだ終わってない」

「し、死に際のあの台詞ぅ……地上の皆さんは操られてしまっているんですよねっ!?」

「うん。でも大丈夫」

「何を根拠にっ……!」


 僕は魔力と体力を全回復するために『秘薬』を取り出して(あお)ると、消費魔力を半減する『漆黒のワンド』を取り出して詠唱を始める。


「ステラちゃん、もし私が倒れたら、運ぶのはお願いね」

「な、何をっ……」

『――(じゃ)(はら)い、二豎(にじゅ)を浄化せし一滴(ひとしずく)よ、今ひと度(われ)に力を貸し与えたまえ――』


 天に掲げた魔法陣は僕からは見えないが、発動している領域がどんどん広くなるようにその魔法陣を波紋状に伸ばしていく。


「ま、まさかっ……!?梛の国全体を魔法で浄化する気ですかっ!?そっ、そんなの無謀ですっ!!いくら師匠でもっ、そんなことしたら死んじゃいますよっ!」


<ソラくんっ!それはダメっ!!>

<大丈夫ですよ>


 僕であれば少し無理をすれば、このくらいなんてことない。


『――すべてを浄化せよ、ハイエリア・セラピー!!――』


 空から降りてくる瞬く強い光はやがて地下にも響きわたってきて、すべての闇を浄化していく。


「す、すごいっ……!これが、師匠の本気っ……!」


 ステラちゃんはその神々しさに見とれているようだった。




「っ!?」


 ズキンと吐き気を催すほどの頭痛がいきなり来る。

 無事魔法が発動し終わり魔力が尽きた合図とともに、僕はどさりと倒れた。


「し、師匠ぉっ!?」

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