閑話7 御告げ
【柚季桜視点】
「お帰りなさい、サクラ様」
自室に戻ると、アレンが騎士服から着替えていた。
剣術と身体強化だけでのしあがっただけあって、体つきだけは凄いのよね。
「もう、敬語!」
「あ、ごめん……。 お帰り、サクラ」
親衛隊長という立場上したに示しが付かないと言われたから、みんなの前では敬語を付けることは認めたが、二人の時くらいはやめてほしい。
「もう、アレンもソラちゃんと同じで真面目さんなんだから……。 私、心配だわ」
「大聖女様と同じとは、光栄ですね」
目をキラキラさせてそう言われた。
お互い苦労人だから気が合いそうなのよね……。
「そうだ、ソラちゃんで思い出した。 先に御告げ、しないとね」
そう言うと、私服に着替えたアレンは姿勢を正す。
拡声魔法で全世界に向けて御告げを飛ばす。
この魔法、魔力を結構使うから大変なのよね。
『サクラからの御告げコーナー。 ぱちぱちぱち!』
これをやる度にアレンが冷や汗かいているの、バレてるわよ……。
『今日はみんな大好き、ソラちゃんの秘密について教えておくわね。 実は初代聖女、嶺楓さんはソラちゃんの実のお祖母さんなのよ!』
部屋にはアレンしかいないけど、外からガラガッシャーンと音が聞こえてきた。
メイドちゃんかな?アレンと違ってとてもいい反応をしてくれる。
『ふっふっふ、驚いた? 私も聞いたときはとても驚いたわ』
あの子が来てから、この世界の色が前より豊かになった気がする。
『ここからは真面目な話だけど、みんなにお願いがあるの』
だから私も、返していかなくちゃね。
『初代聖女さまは早くにこちらの世界に来てしまったから、ソラちゃんには初代聖女さまとの思い出があまりないの。 だからソラちゃんに会ったら、初代聖女さまのやってきたことを是非教えてあげて――』
「ふぅ……」
アレンは元の楽な姿勢に戻った。
「お疲れ様。 びっくりしたよ」
「にこやかにそんなこと言われても説得力ないわよ?」
その笑顔にはやられてきた。
「聖女さまには驚かされてばかりだからね。 いい加減慣れてくるよ」
けど、今日は秘策がある。
「ふふふ、いいの? そんなこと言って……」
「な、なんだい……?」
「これはソラちゃんに言っていいって許可を貰ったから言うけど、誰にも他言は禁止。 私からアレンのみに告げる御告げよ」
そう言うと、姿勢をいっそうビシッと正して構える。
ふふっ、これがドッキリを仕掛ける人の心情かしら?
とはいえ、ソラちゃんの存在そのものがドッキリみたいなところはあるけどね……。
「大聖女奏天ちゃんはエリスの初恋の相手であり……」
勿体付けて言うのもまた一興ね。
「貴方と同じ性別。 つまりオトコノコ、なのよ」
固まったアレンの久しぶりに見た可愛らしい顔を見て、私は改めてソラちゃんという存在に感謝した。
ホントあの子が来てから、この世界の色が前より豊かになった気がするわ――




