第221話 捜査
ひとまず嶺家には偵察をお願いし、僕達は五国会議を続けることにした。
他国の王家には見られていないことを理由に、この事は黙っていることにした。
そうでないと交渉で不利に働くことだろう。
要人ばかりのいるこの空間で毎夜パーティーというのも仕方はないとは思うけど、慣れていない僕には少し疲れてくる。
「楽しんでいますか?」
ディナーの席、気になったことがあったので僕はアレクシア女王のところへ。
「ごきげんよう、ソラ様。私に何か?」
「この間、東の国には気を付けてくださいと忠告してくださいましたが、その詳細をお聞きしていないと思いまして……。何か根拠があってのことなのでしょうか?」
「ああ、そのことでしたか。少しこちらへ……」
あまり他の人に聞かせる話でもないので、隅に寄る。
「リタが私に使用した呪いの魔道具、どうやら調べたところ東の国の商人から取り寄せた可能性が高いと……」
詳しく聞くと、リタさんが面会した商人を調べたところ、主にその商人とだけしか面会をしていなかったらしく、ほぼほぼその商人で間違いないとのことだ。
なんというか、今だから言えることだけど一国の王家として脇が甘い……。
いや、反論する人達をことごとく牢屋に入れていたからこその甘さなのかもしれない。
「東の国の商人……」
リタさんの件にも絡んできていたということは、各地で王家を潰そうとしている集団がいるということだ。
「何か心当たりが?」
「実は聖国で毒を盛られたりかけられたりすることがあったんですが、どちらも取り寄せたのは東の国だと言われていたんですよね……」
バフォメットがルドルフ・マグワイア公爵令息の老執事に成り済まして盛られたときの毒も、父親の命令でシェリーやセフィーが僕にかけたときの毒も同じもので、どちらも東の国から取り寄せたことまでは知らされていたが、それ以上のことは分からなかったのだ。
「ソラ様が、盛られたのですか!?」
「正確にはシエラが、ですけれど……」
「な、なるほど……。御大事ないようで」
「あ、ああ……流石にあれくらいの毒じゃ全部飲んでも死ねないので……」
「え、ええ……?」
「私を殺したいのなら魔王のベノムでも持って来ないと……」
「ソラ様の規格外さがようやく分かりました……」
廃人でごめんなさい……。
するとどこかでパリンと皿が割れる音がした。
「おい欠落……」
なんだなんだと回りが騒がしくなる。
人を掻き分けるとそこにいたのは、ソフィア王女の婚約者アークさんと、97代聖女ジーナさんの娘、サンドラ・ジンデルさんだった。




