第214話 忍者
深夜。
眠い目を擦りながら用を足していると、突如ズンと重低音がする。
「な、なんだ……!?」
一気に目が覚め、アイテムボックスを使って早着替えをすると、部屋の外に出て音のする廊下へと向かう。
光魔法で照らしながら進むと、やがて鍔迫り合う人達を見つける。
「貴女達は、東国の……」
確か護衛の人達だ。
樹下さんもいる。
「大聖女様!?ここは危険です!」
あれは……忍者集団?
集団で対峙しているということは、計画されていた襲撃なのかな?。
アレクシアさんの忠告はこの事だったようだ。
ボクの存在に気付いた忍者は逃げようとしていた。
「光の束縛!」
僕はひとまず逃げる忍者を全員拘束した。
「くっ!」
「助かりました、ありが……」
「光の束縛」
「ぐあっ!」
「どうして私達まで……!」
「まだどちらが悪なのか分からないですから」
「大聖女様!まだ奥にいます!狙いは王家です!」
「っ!確認してきます」
とはいえ、この人達を野放しにして自殺とかされても困る。
僕はごめんなさいと思いつつ、無属性魔法の「眩惑」を唱えて皆を昏倒させた。
中に入ると、薄暗い部屋の中、ギチギチと刃物が合わさる音だけが聞こえる。
「忍!邪魔しないで!」
「神流、あなた大聖女様に泥を塗るつもり?」
ここは確か、静馬王子の部屋か。
光を当てると、片方は静馬王子を庇っていた。
影がくっきりして現れたのは、二人ともくノ一。
えっ……仲間割れ?
「ソ、ソラ様っ!?」
「しまったっ!?」
闇魔法ですうっと消える忍び二人を僕は逃さない。
「光の束縛」
「ぐぅっ!?」
「ふあっ、愛の束縛がぁっ!?」
んん……?
なんか今片方悲鳴がおかしくなかった……?
僕はすかさず昏倒させる。
「静馬くん、大丈夫?」
「うん、忍おねぇちゃ、まもってくぇたから……」
静馬くんは眠そうだ。
「ここは私が守ってるから、安心しておやすみ」
「あぃがと、ソラさま」
うん、とてもかわいい。
正直静馬くんは癒しだ。
お姉さんの岬ちゃんが過保護なのも頷ける。
が、そんなことを言っている場合ではない。
落ち着いて顔のマスクをはずすと、二人ともみたことのない女性だった。
「この人達、明らかにリストにいなかったよね……?」
ということは、侵入者だよね?
でもどうして仲間割れしていたんだろう?
ひとまず静馬くんの睡眠の邪魔にならないように二人を回収する。
よく分からないままでどうしようか考えあぐねていると、どたばたと足音が聞こえてきた。
「どうしたの!?」
あれは、岬ちゃんとアレンさんだ。




