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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第3章 暗中飛躍
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第22話 救助

 王城の対策会議室に通される。

 

「サクラ様!それに、その御方は……」


「大聖女さま!?」


 会議室には、要職と思われる面々がいた。


「状況を教えてもらえるかしら?」


 戸惑っていたが、後ろに国王がいたので観念したのか、素直に話し始める。


「は、はい……。西国の情報によると、西国と我が国の間の街道で、クラッシュボアの大群が現れたそうです」


 クラッシュボアは猪型であるボア種のボスのような存在だ。

 それが大群になるというのは何かがおかしい。


「場所は?」


「は、はいっ!ここから西南西に……」


「地図のどこ!?」


 申し訳ないけど、距離と方角を言われるより地図の場所を印された方が早い。


「は、はい。この辺りです」


 西国セイクラッドと聖国ハインリヒの丁度真ん中くらいの街道か……。

 ともあれ、場所はわかった。


 僕は会議室の窓を開け、飛び降りる。


「ちょっと!(あし)はどうするの!?」


 サクラさんが聞いてくる。


「ここ!お借りしますね!!」


 僕は大声で言ってから、アイテムボックスから『簡易ワープスクロール』を出して広げた。


 そして、『大精霊の大杖』も取り出しておく。




『――光を抱く崇高なる神龍よ』




 さっき()()()話を聞いた手前、僕は焦っていたのかもしれない。




『今ひと度吾われに力を貸し与えたまえ――』




 でも、助けられる可能性が少しでもあるなら、迷ってなんかいられない。




『――降臨せよ 教皇龍(ハープスト・ドラゴン)――』




 次元の裂け目から白い鱗と四本の羽を持つ教皇龍、『ハープちゃん』を呼び出し、身体強化してジャンプし、背に跨がる。


「ハープちゃん、お願いっ!!」


 ハープちゃんはバサバサと風を靡かせながら飛び立つ。




 上空から見る景色はゲームでよく見る俯瞰図の光景だ。




 大体の位置を確認すると、ハープちゃんに指示をする。


「あっち!急いで!」


 僕は自分とハープちゃんに強化魔法を施し、更に急いだ―――






「――あそこだ!」


 見えてきた先にはクラッシュボアの群れと、逃げる人達。


 だけど、クラッシュボア達の進行方向は別に人の逃げている方向ではなかった。


「ごめんハープちゃん、あの人達の横に突っ込める?」


 地面に突っ込めなんて命令はしたくないけど、今は手段を選んでいられない。

 せめて痛さが和らぐよう防御強化魔法をかけておく。




 ズガアァァン!




 物凄い砂と音を撒き散らし、ついでにクラッシュボアも何体か吹き飛ぶ。


「きゃあっ!?」

「なっ、なんだぁ!?」


 よかった。人は無事みたいだ。


 人々の方にスフィアバリアを張ってから、辺りを見渡す。


 ――いた!遠くに見える魔族、バフォメットだ!


 クラッシュボア達はおそらくあれから逃げてきたのだろう。


「ハープちゃん!リフレクション・バースト!」


 ハープちゃんは唸りをあげ、口を大きく開いて魔力をためると、白い光線となって解き放たれる。




 ―――――ィィイイイイイイ―――――




 光の光線はほとんど音を立てずに一瞬でバフォメットを飲み込み、跡には塵だけが残っていた。




 驚異が去ったクラッシュボアは、今度は教皇龍(こっち)が脅威と悟り、一目散に逃げていった。




「た、助かった……」

「大聖女さまが助けてくださった!」


 スフィアバリアを解き、近くにいた荷馬の御者さんらしき人に話しかける。


「大丈夫ですか?」


「は、はい。皆無事です。本当にありがとうございます、大聖女さま。……ですが、申し訳ありません。我々は荷物を守れませんでした……」


 クラッシュボアに踏まれて運ばれたセイクラッドからの制服や織物などが散乱しており、破けているものもあった。




 僕は範囲(エリア)リカバーを唱え、破れ落ちた衣服をもとに戻す。




 それが終わると最後に、馬と人々にヒールを行う。




「それでいいです。荷物は元に戻せますし、最悪なくなってもまた作ればいいのです。ですが、人は死んだら元に戻せません……。あなたたちはこの世界に一人しかいない大事な人達なのです。これからも自分の身を大事にしてくださいね」


 自分に言い聞かせるようにそう言った。




「寛大な御言葉、ありがとう……ございます……」




 みんなが感謝の祈りを捧げてきた。


 ……なんか自分で言ったことが恥ずかしくなってくる……。


「そ、それよりっ!これからハインリヒに帰りますが、皆さんついてくる、でいいですね?」


 反対の声がないようなので、みんな聖国行きでいいかな。


「荷物は移動には多いので、一旦預かります」


 アイテムボックスに入れ、代わりに『簡易ワープスクロール』を取り出す。


 これでここと王城が繋がった。


「それは……ワープスクロールッ!?」

「まさか、我々も……!?」


「もちろん。全員でハインリヒ王城にワープしますよ!集まってください!」


 ハープちゃんを送還すると、ぞろぞろと集まってくる。

 20人くらいだろうか?これくらいなら大丈夫そうだ。


 スクロールに魔力を灯すと、僕たちは光に包まれていった――

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