第204話 慈愛
「ブルーサファイアドラゴン……」
「さ、修行の成果を試す時ですよ」
セフィーは周りのアクアクリスタルタートルに一撃を入れ、葬っていく。
「ソフィア様!」
「ええ!」
「「氷炎槍!」」
鋭い氷の槍の外側に高温の青い炎が纏う合成魔法。
レベルが上がって青い炎を使えるようになったソフィア会長は、エルーちゃんの白い氷と合わさって神秘的な魔法を造り出していた。
ゲームで見る魔法とはこんなにも違うものなのだろうか。
改めて現実になっていることへの実感と違和感が同時に起こっていた。
造り出された氷炎槍はブルーサファイアドラゴンの吐き出した氷の光線を溶かし、そのまま口内から焼き尽くすように一直線に貫いた。
「ギュアアアア!!!」
ドシャアと音を立てて倒れる。
ブルーサファイアドラゴンからドロップしたブルーサファイアを二人に渡す。
「はい、これ」
「……まっ!」
「……ぼっ」
「ん?どうしたの?」
エルーちゃんが真っ赤だ。
「うふふ、宝石をあげるのは愛の証ですよ、ソラ様」
「なっ……!?ち、違うから!!!!わ、私はただドロップ品を渡しただけで……」
「サファイアの石言葉は慈愛……。ではソラ様は私達への愛がないと……?」
「そ、そこまでは言っていないけど……」
「うふふ、そのお気持ちだけで嬉しいですわ♪」
なんかうまいこと言わされた気がする……。
「もう、これからどんどん増えていくんですから、気にしないでくださいよ……」
エルーちゃんの頬は、しばらく紅くなっていた。
「結構増えてきましたねっ……!」
三人とも一人で倒せるようになっている頃には、ブルーサファイアドラゴンは群れでやってくるようになっていた。
「さっきブルーサファイアドラゴンが本命と言っておられましたが、経験値が多いということですか?」
「ええ。宝石竜は他と比べて経験値が高いんです」
「このドロップ品、ブルーサファイアも売れば高値ですよ!市場に出回ることはほぼなく、聖貨100枚とも言われています」
もう僕には分からない世界だよ……。
群れを倒したエルーちゃんが聞いてくる。
「もしかして、ソラ様はこれも沢山……?」
「う、うん……カンストしてる」
「……お義母様がお金目当ての輩に狙われないように私も頑張らないと……!」
うちの義娘が優しい子で良かったよ、うん……。
「さ、着いたよ」
洞窟の最奥には辺り一面がブルーサファイアで囲まれた大きな空洞となっていた。
中央に見える巨大なブルーサファイアの原石の家のような祠が置いてある。
中に入ると、祠に青年が寝っ転がっていた。
「なんや、自分ら?ここに何しに来たん?」




