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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第25章 鳳凰于飛
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第198話 香気

「……シエラさんには伝えていませんよ?」


 ソフィア会長がすぐに取り繕うが、セフィーは立ち上がった。


「失礼します」


 見えているのかと思うばかりに僕の方に一直線に向かう。


 僕は後ろへ下がるも、セフィーは正確にあとを追ってくる。


 えっ……なんで?

 『一体化(インテグレーション)』はかけてるよね……!?

 僕は初めて自分の能力と獏の能力を疑った。


「っ!?」


 壁際に追いやられると、セフィーは僕の手を掴んだ。


「やっぱり、お義母様……。どうして……」

「セ、セフィー……」


 僕は観念して話をすることにした。


「ごめんなさい!私のせいで……」

「いや、最終的に私が決めたことですから。セフィー、本当にごめんなさい……」


 僕はソフィア会長に聞いてからセフィーのことが心配で心配でたまらなくなり、やってしまったことを明かした。


「誰のせいとか、そういうのはいいですから……」

「でもセフィーはどうして私のことが分かったの?」

「それは、匂いです」

「に、臭いっ!?」


 えっ……僕って臭いの?

 自分の臭いって普段嗅いでいるからよくわからないものだけど、そんなに臭いなんて……。


「お義母様はさわやかなお花みたいな独特の良い香りがするんです」

「そ、そうなの……?」


 臭いわけじゃなくて独特の匂いなのか……。

 よくわからないけど、よかった……。


 セフィーは俯いたまま話を続ける。


「馬鹿みたいですよね……。お義母様にまで迷惑をかけて……」

「迷惑なんかじゃない!!!」


 僕はセフィーの手をとって、ちゃんと顔を見て喋る。


「心配はしたけど、迷惑なんかじゃないよ。ねぇセフィー……私じゃあ頼りないかもしれないけど、聞いちゃ駄目……?」

「そんなっ……。私はただお義母様には心配してほしくなくて……。本当に大したことじゃないので」

「ふふ、親子仲の良いことですね。セラフィーさん、まずはお話ししてみませんか?」


 少し渋っていたようだが、やがて話してくれた。


「お義母様は私達のことをお救いくださった代わりに、私達に人生の課題をくださったのは覚えておりますか?」


 恐らく、「先行投資」と言った件のことだろう。


「ええ、『私がやり直すために貴女達が先にやり直してみせて』と。でもそんなに急がなくてもいいのに……」

「シェリーが私に比べて凄い頑張っているのは分かってるんです。でも、私には何の特徴もない……。この間その件で、武術大会であたった涼花様から迷いがあると悟られてしまいました」


 僕が見ていないところで、そんなことがあったんだ……。


「涼花様に問われてからよく考えるようになったんです。私には何ができるんだろうって……。でも何をやっても長続きしないし、上達もしないんです」

「セフィー……」


 名前を隠しているとはいえ、いつも身近にいる人が突然有名になったんだもんね。

 そりゃあ焦るのは仕方ない。

 僕はセフィーをよく見ていなかったのだと反省した。


「あの……話の腰を折るようなことを言ってもよろしいでしょうか?」

「……なんですか、急に?」


 ソフィア会長が右手のひらをこちらに向けて制す。


「私、実はセラフィーさんとは初めてお会いしたんです」

「……はい。ソフィア会長とは初めてお話ししました……」


 本当に何の話……?


「今まで数えきれないほどの人を私はこの目で見てきました。魔力視を持つ私は魔力の属性を色で見分けられます。無属性なら無色透明、ソラ様ならとても強い白色と言う風に。ですがセラフィーさん、あなたの色を私はこれまでで一度しか見たことがないんです……」

「一度しか見たことがない色……。それはどこで見たんですか?」

「精霊女王のシュネーヴァイス様です」

「!?も、もしかしてセフィー!」


 僕は慌てて『魔水晶』を取り出す。


「セフィー!!!ほらこれっ!これに触れてみて!お願いだからっ!!!」

「は、はい……」


 迫真に迫る僕に少し怯えながら、そっとセフィーは『魔水晶』に触れる。


 名前:セラフィー

 種族:人種族 性別:女

 ジョブ:拳術家 LV.10/100


 体力:79/108 魔力:57/57

 攻撃:75

 防御:60

 知力:50

 魔防:33

 器用:35

 俊敏:104


 スキル

  七属性魔法[初]


 加護

  神獣鳳凰の加護


「「っ!?」」

「やっぱりっ!セフィー!貴女、何にでもなれるよ!」

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