閑話52 使命感
【ミア視点】
「ええと、どちら様……?」
「こちら、聖女院編集室長のエフィー様です」
「……はじめまして、朱雀寮母のフローリアです」
「初めまして、エフィーと申します。早速ですが、シエラ様はこちらで普段どのように過ごされておられますか?」
「ちょっと、エフィー様!?外泊許可を貰いに行くだけだって……」
「せっかくシエラ様の住まわれている寮に来たのですから、聞けることはお訊きしないとね!」
なるほど、知識に貪欲になることこそインタビュアーとしての生き様……。
「シエラちゃんと一緒に住んでいると、凄い人ばかりここに来るのね……」
それはまあそうだ。
すべてソラ様の縁のもと成り立っている。
「けれど、私はシエラちゃんに不利益になることは言いたくないですから、シエラちゃんがいる時になら答えますよ」
「あら、残念……」
「ふふ、この寮の人達はみんなシエラちゃんの味方ですから」
なんだかそれが誇らしかった。
外泊許可はすんなりと取れて、今はエフィー様のお部屋にいる。
「そっか、そういえば魔術大会と武術大会の時期だものね……」
「はい。ですから、聖徒会速報にはいつも以上に力をいれたいんです!」
「あまり肩肘を張っていると良いものも出来ないわよ」
「……そういうものですか?」
「変に意識しないほうがいいものを作れるという話よ。まあ緊張が無さすぎるのも良くないけど、そっちのほうは大丈夫そうね」
「日頃ソラ様で緊張には慣れていますから!」
むしろ緊張しっぱなしなんだけどね……。
「ふふ、貴女が羨ましい。ここの見出しだけど、『Sランク VS Sランク』と書くよりは『二つ名、激突』とかにしてみるのは?」
「なるほど……そういう切り出し方の方がいいですね」
「しかしこの原案、なんだか均一に評価を書きすぎじゃない?普通は表彰された1位から3位について取り上げるものなんじゃないの?」
「ソラ様のご要望ですよ。『私なんかより、もっと皆さんのいいところを取り上げてください』って」
「ふふ、我儘なお姫様ね」
お姫様……。
まあ、普通そうだよね。
あれを初見でお殿様だと言ったあかつきには、もれなく非常識の烙印が押されてしまう。
<告げます>
「「!?」」
そんなソラ様の話をしていただけに、いきなり聞こえてきた天からの可愛らしい声にびっくりする。
これが男の子の声なのだから、もう何を信じていいのかわからなくなってくる……。
<サクラさんの新しい子供が生まれるのは皆さんご存じかと思いますが、今日はそのお子さんについてお話しさせてください>
私達はお互いに顔を見合わせる。
<サクラさんのお子さん、柚季真桜ちゃんは聖女、つまり転生となるそうです。聖女院は私達の新しい仲間に際し、人員の募集を行います。奮ってご参加くださいね>
「……聞いた?」
「……聞いちゃいました」
「こうしちゃいられないわ!添削は後回しよ!」
「はいっ!」
サクラ様にお訊きしなければ……!
使命感にも似た何かを持って、メモ帳とペンを持ってエフィー様に付いていった。




