表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第24章 広宣流布
237/1283

第185話 型技

<ええと……刀術には『型』技というものがありまして……。型技は通常の攻撃より威力が高いので、刀術士はこの型をまず全て覚えるところから始まるのですが、もしかして知られていないのですか……?>

<え、ええ。恥ずかしながら……>


 そんなことすら知られていないなんてこの世界、どんだけ武術の人気がないんだ……。

 いや、それを広める側の聖女に人気がなかっただけか。

 確かに僕以外は女性だったはずだし、わからなくはないけどさ……。

 でも異世界に来たら前世にもある武術より、魔法の方に興味持つのは仕方がないか。

 僕も魔法が撃てることへの感動は少なからずあったしね。




 あれ、でも確か過去に刀を使っていた聖女はいたよね……?

 僕は思わず拡声魔法を切って、二人に確認する。


「確か第50代の(いつき)(しずく)さんが刀術士だったと聖女史で習いましたが、その人から受け継がれてはいないのですか?」

「確かにシズク様は東の国の側近達に様々な流派の刀術を教えられましたが、シズク様は無口な方なので多くを語らず、見て盗めと言うような方だったそうですよ」


 どんだけ職人気質なんだよ、その聖女……。

 それにエバ聖の刀術を極めた人たちに流派もなにもないと思うんだけど……。

 サクラさんは武術の知識がなかったし、涼花様は葵さんに教えて貰ったのかな?

 それとも他に師匠でもいるのだろうか?


<イザベラ選手、防戦一方か!?>


 通常攻撃でも十分に打ちのめされてしまうのは、涼花様のレベルが高いせいだ。

 だが単純に不利だということはイザベラさんも理解しているだろう。

 その対策をするために僕と手合わせしようとしたのだろうからね。


 一度距離を置いたイザベラさんは、体勢を立て直して攻撃に回る。

 今度は足技もからめて隙の少ない手数で攻める。

 柄の長い槍で手数を増やすのは正直難しい。

 だが今はそんなことも言ってられないのだろう。


 そして突きで刀を弾き引き離すと、生まれた隙に棒高跳びのように槍で滞空する。


<出た、イザベラ選手の『鬼潰し』!今大会でこれを食らって耐えた相手はまだおりません!>


 今大会ではそうだろうけど、イザベラさんは涼花様と試合したことが何回かあり、因縁の相手なのだ。

 この『鬼潰し』に関しても涼花様は知っている技で、いつも受けるのではなく()()()()()とイザベラさんから聞いている。

 このフェイント技も涼花様を想定して作っていたのだろう。


 案の定涼花様はいつものように躱す動作に入った。

 だがこのフェイント技『鬼祓い』は、『鬼潰し』を躱して安心しきった相手を刈り取る技だ。


 ギリギリまで力を込め、すっと滞空で力の方向を横に変換していく。

 その勢いを横に換えきったとき、ぐんと一回転して横なぎ払いを起こす。


 その時、涼花様はイザベラさんの()()()()()()()()


 ああ、そうか。




 この状況、「空蝉(うつせみ)」を使えるのなら使うよね……。




 刀術の型技は武術士にとって常識だと思っていたとはいえ、そのアドバイスをイザベラさんにできなかったのは少しやるせなかった。


 ビィイイイイイ――


<ここで決まったあああ!橘涼花選手、二年連続優勝です!!>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ