第18話 結果
今日は聖女学園の入試の結果発表日だ。
聖女学園に合格者が貼り出されるそうなので、エルーちゃんと向かうことにした。
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中心街の『聖女の通り道』に出ると、聖女の生誕祭がやっていた。
生誕祭は存命の聖女の誕生日から1週間の間、行われるそうだ。
街に屋台が並び、そこでは誕生日となる聖女にちなんだ商品の販売が許可されている。
屋台にはソラクッキーやカナデ飴などの名前のお菓子や食べ物、創作本、名言集、アクセサリーなど、多種多様な『女装した僕』にちなんだものが売られていた。
なんだかオンリーイベントのようだ……。
道中にあるマーサさんの服飾雑貨の前を通ると、『ソラ様御用達ぱんつ』と銘打ってブリーフが叩き売られていた。
横には僕のサイン入りブリーフがあった。
僕とエルーちゃんはあのときのことを思い出して、ふたりで苦笑していた。
聖女学園に到着すると、受験生と思われる人が沢山いた。
受験生の喜怒哀楽に埋もれているのを掻き分け進むと、結果の書かれた掲示板へと辿り着く。
掲示されていた内容を見て、今更ながら「しまった……」と呟いた。
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1位 0536番 シエラ・シュライヒ 1010点
2位 0001番 リリエラ・マクラレン 885点
3位 0020番 イザベラ・フォークナー 830点
4位 1334番 エルーシア 828点
5位 0257番 ノエル・ライマン 803点
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て、点数まで掲載されるなんて聞いてない……。
「まんてん……」
この結果は正直想定してなかった。
どこかしらミスするだろうなと思っていたし、もっと僅差になるかと思ってた。
貴族の方々が家庭教師をつけて勉強させて入試を受けるくらいの学園だと聞いていたから。
きっと上位争いが緊迫していて、だから僕も全力を尽くさないと落ちるかもしれないものだと思っていた。
それに問題は1000点ではなく、1010点を取ってしまっていることだ。
校内放送で呼び出されたのは周知だろうし、例外的に取れる10点は学園長からもらったと誰しもが分かる。
それに戦闘実技でも100点を取っているため、「学園長に勝った」という事実も周知されてしまう。
僕にとって考えられる最悪の張り出し方だった。
こんなことになるなら、負けておくんだった……。
「す、すごい……。 流石です、シエラ様!」
シエラと呼ばれた瞬間に、周りの数名が僕の顔を見た。
流石に貼り出された一番上の名前を聞いたら誰でも気になるか……。
「あ、あはは……。 でも、エルーちゃんだって4位じゃない」
僕は渇いた笑いで誤魔化すように言うけれど、エルーちゃんの成績が良かったのは素直にうれしい。
「はい、これもシエラ様のお陰です!」
……視線が痛いなぁ……。
「あの……申し……?」
聖女学園の制服に身を包んだエルフ族の人がいた。
エルフ族はこちらに来てからは初めて見る。
耳が尖っていて、おっとりとした雰囲気の女性だった。
「貴方がシエラ・シュライヒさん?」
「はい。 そうですが……」
このタイミングでかけられる声に、良い予感は皆無なんだけど……。
「よかった、すれ違いにならなくて。 実は、成績トップの子に毎回入学式の代表挨拶をお願いしているの。 その相談があるから、少しだけ付き合ってもらえないかしら?」
ああ、またストレスの種が……。
「お……」
「そちらの従者さんも一緒にどうぞ」
エルーちゃんが何か言いかけたが、エルフの女性に遮られた。
エルフの女性についていくと、提げ札に「聖徒会」と書かれた扉に案内された。
「この時間は誰もいないですから、さあどうぞ」
入った扉をエルーちゃんが閉めると、エルフの女性が簡易的なカーテシーを行った。
「改めまして、初めまして。 私はソフィア・ツェン・ハインリヒ。 聖徒会、所謂ここ聖女学園の学生生徒会の会長を務めております」
ソフィアさんは優しい笑顔でこう続けた。
「それとも、ソフィアと名乗った方が宜しいでしょうか。 ――大聖女様?」




