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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第21章 挙棋不定
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閑話46 名付け

柚季(ゆうき)(さくら)視点】

「サクラ!今日は私も色々と考えてきたんだ」


 最近はこうしてアレンがやってくると、私達の子の名前をメイドのカーラと三人で考える。

 カーラは普段アレンを毛嫌いしているけど、私の子のことになると一時休戦になるのだから、この子は将来有望だ。


 いけない。

 すぐ親バカになってしまうのも困ったものね。

 仲良くなれるといいのだけれど。


「ふふ、二人にはこの子の特別なことを教えてあげるわ」

「特別なこと、ですか?」

「他の人たちには絶対に内緒よ?まだソラちゃんとエリス、それからシルヴィしか知らないんだから」

「なんだい?勿体ぶって……」


「この子はね、聖女になることが決まっているの」

「えっ……」

「この世界で初めて、聖女から聖女が産まれるのよ」

「聖女様から聖女様は産まれるはずがなかったのでは……?」


 私はマコトちゃんのお話をすることにした。




「……魂だけの転移……」

「そんなわけで、彼女……(かすみ)(まこと)ちゃんを私達で転生させることにしたの」

「そんなことになっていたなんて……」

「本当はアレンには事前に伝えておきたかったんだけど、器のない魂はどんどん傷ついてしまい、しまいには記憶がなくなってしまうから、急ぐ必要があってね……」

「構わないさ。サクラの幸せが、私の幸せなのだから」

「アレンならそう言ってくれると思ったわ……」


「いちゃつくのなら、私のいないところでやってください」

「「……」」


 釘を打たれてしまった。




「マコト様……聖女様はどんな方なのですか?」

「無口だけど、いい子だって言っていたわ。エリス談だから、信用できるかは五分五分だけどね」

「サクラの中のエリス様、大分信頼度が低くないか……?」


 ソラちゃんの一件でエリスの信用がどん底に落ちたからね。

 堕女神と言っても過言ではないと思うわ。


「では、お子様のお名前はマコト様になるのでしょうか……?」

「彼女は『新しい両親のネーミングセンスに任せる』って言っていたそうよ」

「それは、身が引き締まる想いだね」


 また三人でじっくりと考える。


「そうだ、マオっていうのはどうかな?」

「マオ?」

「ああ。せっかく前世の真って素敵な名前があるのだから、それを使ってあげたいだろう?真実の真に桜と書いて、真桜(まお)っていうのはどうかなって」

「……」

「アレン様にしては、珍しくまともですね……」

「私もサクラの世界の名付けについて、聖女記から色々と調べて勉強したからね。それに、実はこの間ブルームさんにも涼花ちゃんの名付け方について訊ねてみたんだ」

「ブルームさんに……」


 私の知らないところでそんなことをしていたなんて……。


「葵様もブルームさんもお互いに花に関係がある名前だから、涼花ちゃんには『花』という漢字を付けようって決まったんだそうだ。私も親の名前から付けるのもいいと思ってね」


 真桜。

 いい名じゃない。


「決めたわ。この子は真桜にする」

「素晴らしい名前です。真桜様、待ち遠しいですわ……!」


 私達(親馬鹿共)がいえた立場じゃないけれど、カーラは真桜のことを溺愛しそうね。


 大変なことがあった子だけれど、早く笑顔にさせてあげたいわ。

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