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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第21章 挙棋不定
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第166話 憶測

 シルヴィアさんとサクラさんが声明を出して数日後。


 僕はいつものように放課後に講師をしていた。


 教えることは教えたので、僕はリフレクトバリアの講師をしていた。


 最近は魔法の威力が上がる感覚を覚えた生徒も多くなり、僕のいうことをよく聞いてくれるようになった。




 でも講義が終わると、お小言がやってくる。


「同じ魔法を繰り返し打つだけで強くなれるのなら、苦労しないわ」


 ミカエラ先生の方で講義を受けている先輩達から僕に来るお言葉は日に日に苛烈になっていっていた。


「そうよ。これで強くなれなかったのなら、それはもはや洗脳ね……」


 僕からすると、魔法の種類を多く覚えれば強くなれるなんて考え方の方が洗脳だと思ってしまうけどな……。


「それは流石に言いすぎですよ、先輩方」


 リリエラさんが僕の代わりに怒ってくれる。


「結果を見た後ならともかく、見る前から憶測で語るなど言語道断。洗脳しているのは、いったいどちらの方でしょうね?」

「っ……!下手に出ていれば、いい気になって……」

「私達は忠告しただけだというのに……!」


 それでなお下手だと思っていたのか……。

 相当の偏見があるというか、先生の言うことは絶対とか思ってる……?


 でも、こうなっているのには多少なりとも理由はある。

 僕の方へ来てくれたグループは、ほとんどが一年生。

 一年生は皆遠征の時に僕の実力を見ているからだろう。

 マヤ様やソフィア会長のような一部の人以外の2、3年生は皆ミカエラ先生のグループだ。

 2、3年生でこんな博打を打つようなことはしたくないのだろう。

 その気持ちは正直分かる。


「もういいわ。行きましょう」


「リリエラさん、すみません。私のせいで……」

「親友だもの、当然よ。それより、あの先輩達、前はそんな強い思想があるようには見えなかったはずなのだけど……」

「そうなんですか?」


 何というか、余裕がないというか怒りに身を任せているというか……。

 シェリーとセフィーの時のように誰かの入れ知恵が入ってたりしないといいんだけど……。




 エルーちゃんと外に出ると、セフィーとイザベラさんが一緒に待っていた。

 同じ寮のセフィーはいつも待ってくれているから分かるけど、イザベラさんがいるのは珍しい。


「珍しい二人ですね、どうかしましたか?」

「シエラ嬢、折り入って話があるのですが……」


 イザベラさんが僕に用事?


「ご、ごめんなさい。私……」


 セフィーが謝ってきた。


「えっ……ど、どうしたの、セフィー!?」

「いや、セラフィー殿は関係ない。私が尋ねてしまったせいだ……」

「ええと、話が見えないのですが……」

「私は先に帰っておりますね」


 エルーちゃんが気を利かせて帰ってくれた。


「登校初日に、シエラ嬢とリリエラ嬢と手合わせしたことは覚えているだろうか?」

「はい、もちろん」


 もう半年くらいの話だ。

 そんなお話が関係あることって一体……。


「その時、私の渾身の一撃をただの杖二本で綺麗に受け止められた。今まで涼香様などとは中等学校の頃から幾数回お手合わせしていただいていたが、あれほどまでに綺麗に受け止められたのは初めてだった……」

「そ、そうなんですか……」


 まるでうっとりしているかのような台詞……。

 まさか、イザベラさんって学園長(戦闘凶)の種族……?


「先程あの技をアレン様にも試してみたのだが、()()()()()()()()()。お手合わせいただいた後に、『あの技を直接受けてしまえば、私も無事ではすまなかっただろう』と評価いただいたんだ」

「は、はあ……」


 つまり、どういうこと?


「つまり、あの技を直接、しかもあそこまで綺麗に受け止められたのは、今のところシエラ嬢だけということになる」


 嘘っ……!?

 僕、そんな初っ端からヘマしていたの……?


「シエラ嬢、もしかして貴女は武術の心得もあるのではないか?」

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