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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第19章 脚下照顧
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第148話 会遇

 逃げるように更衣室を後にし、ルークさんに会いにきた。


「お久しぶりです、ルークさん」

「ソラ様、お帰りなさいませ。フィストリアでのご活躍、お伺いしましたよ」

「そんな大したことはしていません。私はただ、エレノア様を助けたかっただけですから……」


 ただ助けに行っただけで、こんなにも大事になるなんて思いもしなかった。


「夏休みはあと数日ありますから、ごゆっくり過ごされてはいかがですか」

「ルークさんこそ、たまにはちゃんと休んでくださいよ?」

「こう見えて最近はきちんと休んでいますよ。以前に比べて優秀な部下も増えましたから」


「そういえば、さっきクリスさんからリリエラさんが聖女院に来たと聞きましたが、いかがでしたか?」

「彼女は優秀ですね。単に優秀ということではなく、聖女様の意図を汲み取ろうと考えていることが彼女の利点だと思います」

「……私は仕事の良し悪しより恋愛の良し悪しが聞きたかったんですが……」

「い、いやあ……これは失敬……」


 ルークさんは相変わらずぶれないな。




 その後、久しぶりにアレンさんに会いにいこうとしたのだけれど、アレンさんも親衛隊の皆さんも訓練場にはいなかった。

 今日はお休みだったのかな?

 それとも、この間迷宮の周回をさせたがっていたし、ワープ陣で迷宮にいるのだろうか?




 夕刻。

 流石にシスカさんにお留守番させるわけにはいかないので、寮に戻る。


「ソラ様、フローリア様が共有浴室の使用を勧めておられました。本日は誰もいませんからいつものようにシャワーで済ませるのではなく、たまにはゆっくり浸かってください」


 シスカさんにそう言われて共有浴室を使う。


「ふん、ふふん、ふん、ふ~ん♪」


 いつも狭い寮のシャワーで体を洗っていたから、こんなに体を伸ばして洗うのも久しぶりだ。




 体を洗い終え、浴槽に入る。


「ふ~っ」


 思わず大きな溜め息が出てしまう。

 流石に聖女院のものと比べると小さいが、一人で使うには大きすぎる浴槽だ。


「ふ~ん、ふ、ふ~ん♪」


 向こうで有名な曲を鼻歌で歌ってしまうくらいには、僕は安心しきっていた。

 シスカさんは二階の僕の部屋にいるだろうから、聞かれてしまうようなことはないだろう。


 まあ最悪鼻歌くらい聞かれても、ちょっと恥ずかしいくらいで済むしいいやと思っていた。

 それよりも久しぶりに何も気にせずに思う存分体を伸ばしていられるこの状況を最大限に楽しみたかった。




「そろそろ上がろう」


 いい感じに湯上がってきた。

 ざばあんと音を立てて上がり、浴室の扉に手を掛けようとしたそのとき、その浴室の扉がガララララと勢いよく開かれた。


「ソラ様!ボクも一緒に入らせて……」

「えっ……」

「えっ……!?」


 一糸纏わぬ姿で鉢合せてしまったのは、そこには居るはずのないエレノア様だった。

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