第144話 精霊
「ソラ、久しいのう!元気かえ?」
「ヴァイスも元気そうだね。紹介するよ。私の弟子のエルーシアちゃんとステラさん」
「シュネーヴァイス様、ご健勝で何よりです」
エルーちゃんが挨拶をすると、軽く手を横に振った。
「ああ、そういうのはよせ。しかし、わざわざ来なくとも、呼べば良かったのではないかえ?ここへ来ると、発情エルフがうるさいであろう?」
発情エルフ……。
「別の用事もあったから」
「別の用とな?」
「ステラさんは光魔法使いだから、加護を与えてほしいの」
光属性の加護を与えられる聖獣はいない。
光属性の加護を与えられるのは全属性の魔法が使えるエリス様を除けばヴァイス、それに教皇龍ちゃんくらいだ。
エリス様から加護を貰ったら、それはもはや聖女になってしまうから、気軽には貰えない……。
ハープちゃんの加護でもいいのだけど、多分それだといきなり強くなりすぎて制御が効かなくなってしまうだろう。
「ステラですっ!よろしくお願いしますっ!」
「加護……こんな少女にかえ?もしかしてソラ、ロリコンかえ?」
「ロリっ!?流石に性的には見てないよ!!」
「……」
エルーちゃんが疑いの目を向けている。
「でも、小人族のことは可愛らしいとは思っていらっしゃるのですよね……?」
「それはもちろん!お膝に座ってなでなでもふもふしたいと思うくらいには……」
「ソ、ソラ様っ!私に対してっ!そんなこと思っていたのですかっ!え、えっちですっ!」
ステラさんのえっちの基準おかしくない……?
「なるほど、ソラ様は百合でロリコン……」
「ソフィア王女、真に受けないでください。それにステラさんは年上ですから、普通に失礼ですよ……」
無言で聞いていたハイエルフの女性の一人がどこからか連れてきたハイエルフの子を抱えてこちらを向いていた。
「あー」
僕を招くような声とおてての仕草。
僕はその尊い存在に体と手が引き寄せられる。
「……ふふ、握手したいの?」
「ソラ様が壊れてしまわれました……」
相変わらずひどいな……。
まあ幼い頃からこういう小さくて可愛らしいものは抑圧されてきたから、その反動というのはあるかもしれないけど……。
いくつになってもそういうのが好きでもいいと思うんだ……。
「こやつに与えてやってもよいが、条件がある。ソラが推しているのなら人柄は問題ないじゃろうが、余とて弱っちい輩に渡すつもりはない」
「ではどうすればっ?」
「余と勝負するのじゃ!起き抜けの運動には程よいじゃろうて」
「軽く運動したいなら相手しようか?」
「や、やめるのじゃ!ソラなんか相手にしたらメッタメタのボッコボコにやられるのが目に見えておるわい!」
「ちゃんと手加減するのに……」
「どう考えても余が軽い運動にはならんじゃろう!」
「精霊女王様相手に手加減って……」
「やっぱりソラ様は規格外ですね……」
そろそろエルーちゃんもこちら側の住人だけどね。
「冗談はさておき、ヴァイスにはステラさんの組み手の修行をつけてほしいの」
「魔法使いなのに、組み手ですか……?」
「エルーちゃんも今から私と身体強化組み手だよ。私の弟子になるからには、オールラウンダーになって貰わないとね」
「どこまで鍛え上げる気ですか……」
「わ、私は何をすれば……」
「ソフィア王女は、今日は別メニューです」




