第142話 後悔
『魔力のグミ』の迷宮を周回した後は、東の国の近くの『知力のグミ』の迷宮、セイクラッド奥にあるの迷宮の『魔防のグミ』、そしてルシアさんと一緒に行った『防御のグミ』にそれぞれ行った。
「大聖女様の修行がこんなにも辛いとは……」
「しばらくグミは食べたくないです……」
かなり疲れている様子だ。
「今日はどこの迷宮に行くのですか?」
「今日は迷宮はお休み」
「休みがこんなに嬉しいとはっ……!」
「また明日行くけどね」
「鬼、悪魔、ソラ様っ!」
ついにステラさんもそちら側にいってしまった……。
「今日はどちらに?」
「今日は、ハインリヒの精霊の森に向かいます」
聖国に着くとハインリヒ王城方面へ向かう。
精霊の森はハインリヒ王城の真後ろなので、流石に王家の許可を貰った方がいいかな。
アポ無しだったけど、紙に聖印をつけて渡したら普通に通してくれた。
癖になりそうだな、このやり方……。
「お、王城に気軽に入るなんてっ……。聖女様の弟子になると人生が変わりますねぇ……」
僕自体も人生変わったからね。
「ソラ様!それにエルーシアさん、お久しぶりです!」
「ソフィア様、お久しぶりです」
「社交パーティー以来ですね、ソフィア王女」
「聖印を使われるなんて、本日はどんなご用件でしょうか……?」
ああ、やっぱり聖印を使うと大事になってしまうのか……。
非常時でもない限りは使わないようにしよう。
「ごめんなさい、大した用ではないんですが、ヴァイスに会いに来たんです」
「精霊女王様に……?」
「ああ、その前に紹介を。こちらはハインリヒ第一王女のソフィア・ツェン・ハインリヒさん。聖女学園で聖徒会長をされています」
「お、王女様っ!?」
「そしてこちらが私の二番弟子のステラさんです」
「あら?弟子を取られたんですね。って、二番弟子なんですか?」
「一番弟子はエルーちゃんですから」
「道理でエルーシアさんの魔力が前とは比べ物にならないほど上がっていると思いました。初めまして、ステラさん。小人族の方ですか?」
「は、はい、そうですっ!よろしくおねがいしますっ!」
「ステラさんはマリエッタ先生の妹さんらしいです」
「そうなのですか!?」
「世界は広いようで案外狭いものですよねぇ……」
ソフィア王女に案内されて僕たちは王城の裏手の森へ向かう。
ハイエルフが住んでいるというこの森は精霊も多く住んでおり、その王もここにいる。
「そういえば、フィストリアでルシアさんに会いましたよ」
「ルシアお姉さまに!?……お元気でしたか?」
「はい。今はフィストリア支部の冒険者ギルドでギルドマスターをしていました」
「ギルドマスター!?ルシアお姉さまにはそんな実力があったとは……」
「ああ、二日だけ軽く修行をつけたんです」
「……軽く?」
エルーちゃん、言い分があるなら聞こうじゃないか。
「エルーちゃん、あの時は軽かったでしょう?」
「それは感覚が麻痺している人の台詞ですよ……」
「たった二日でSランクに……」
ソフィア王女はなにか深く考え込んでいた。
「ソフィア王女、どうかしましたか?」
「ソラ様、私も修行をつけて貰えませんでしょうか……?」
「ええっ!?どうして急に……」
「ソフィア様、やめておいた方が身のためですよ!」
「そ、そうですっ!早まってはいけませんっ!」
どうして弟子の二人は猛反対なのかね……。
「魔王が襲来したとき、私はなにも出来ませんでした。そのせいで、サクラ様があんなことに……」
なるほど、それがきっかけか……。
「サクラさんがああなったのは、別にソフィア王女のせいではないと思いますよ」
「それでも、もうあんな思いはしたくありません。ソラ様、どうかお願いします」
意思は固いようだ。
「分かりました。私は頑張ろうとする人の味方ですから」




