第136話 人柄
翌日。
僕はシエラの格好でエルーちゃんと冒険者ギルドに来ていた。
「シエラ様、エルーシア様、こちらです」
手を振るルシアさんのもとへ向かう。
「ステラさんは?」
「まだ来ていないみたいです。ですがこういう時は……」
そう言うと、ルシアさんは併設した飲食店の中に入っていった。
しばらく待っているとルシアさんがスプーンを口に咥えた少女の首根っこを捕まえて飲食店から出てきた。
「ないふうんでふかぁ!」
「Sランク冒険者を二人も待たせておいて、よくもそんなことが言えますね!」
ブラウンのツインテールが特徴の、丸い顔、年齢に見合った可愛らしい見た目。
年齢は10才くらいだろうか?
驚きの顔をすると、口をむにむにしてから咥えたスプーンを外す。
「え、Sランク冒険者が二人もこの依頼を受けてくださったんですかぁ!?」
「シエラと申します」
「エルーシアです」
流石にエクストラランクだと聖女だとバレてしまうので、僕はSランクのシエラだと誤魔化してもらうことにしている。
「私は、Cランクのステラですっ!よろしくお願いいたしますっ!」
気をつけをして挨拶をする。
礼儀正しい子のようだ。
なんかこの話し方、聞いたことがあるような……。
……それに、冒険者になりたての10才でCランクってなんかおかしい気がする。
「早速、フラメス山に向かいましょぉ!」
山の麓まで馬車で移動する。
「ステラさんはもしかして……小人族の方ですか?」
「はい、そうですっ!」
やっぱりそうだったんだ……。
「あの、失礼かもしれませんが年齢は……」
「今年で二十歳になりますっ!」
に、二十歳!?
「ご、ごめんなさい。勝手に年下だと思っていまして……」
「お二人は?」
「私もエルーちゃんも15です」
「なんと、その歳でSランクなのですかっ!?人は見かけによらないものですねぇ……」
それ、ステラさんが言う……?
「そういえば、ステラさんは大聖女様のお弟子さんとお聞きしましたが……」
自分が聞くというのが最高に奇妙なことだが、まずはステラさんがどういう人かを知りたかった。
「ふ、ふふ……Sランクの方でもそういうの信じるんですねぇ……」
あれ?
もしかして、やぶ蛇をつついた?
「私みたいな平民なんかが大聖女様に会えるわけないじゃないですかぁ……」
いや、現に今会っているんだけどね……。
「その噂は周りから言われるようになったのが始まりですが、私が弟子だと言えば、皆さんに周知されるでしょうっ?」
「名声を利用したと?」
「はいっ。大聖女様には顔向けできませんが……私は、この光魔法で大聖女様のように多くの人を救いたいんですっ!」
ふんすっ!と意気込むステラさん。
「ふふ、案外大聖女様もお許しになられているかもしれませんよ?」
「シエラ様……」
これくらいなら言っても大丈夫だろう。
「そうだったら嬉しいですけどねぇ。それより私はあなた方の方が気になりますよっ!メイドさんですし、貴族のお方ですかぁ?」
「私達は侯爵家に縁があるだけの、ただの学生ですよ」
「こ、侯爵家っ!?先程は恐れ多いことをっ」
「いえ、気にしないでください。冒険者同士なので、身分は関係ありませんから!」
「あ、ありがとうございますっ!その実力……もしかして聖女学園の生徒さんですかぁ?」
「……どうして分かったんですか?」
「姉がそこで教師をしているんですよぉ」
「えっ……」
小人族の、先生って言ったら……
「ま、まさか……マリエッタ先生の、妹さん!?」




