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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第2章 雲蒸竜変
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第14話 障壁

 二杖流も大分様になってきた。


「じゃあ今度は防御ね。軽く攻撃するから、避けるか物理障壁と魔法障壁を使って防いでみて」


「は、はい!」


 展開された魔法障壁に向けて蹴りを繰り出すと、パリリンと二重に音がして割れてしまった。


「きゃあ……」


「あ、あれ……手加減はしたはずなんだけど」


 昨日、学園生とも手合わせしたから、その時に手加減はマスターしたと思ったんだけどな……。


「すみません、障壁は苦手で……。試しに二重に張ってみたのですが……」


「ちょっと、もう一度物理障壁張ってみてもらえる?」


「は、はい」


 近くで良く見てみると、自分の障壁と違うことが分かった。


「エルーちゃん、私の障壁と見比べて、どこが違うかわかる?」


 そう言ってまじまじと観察するエルーちゃん。


「あっ……細かい六角形がびっしり付いてます!」


「そう。これは頑丈な蜂の巣の構造をもとに考えられた、いわゆるハニカムと呼ばれる構造のもの」


 障壁はエバ聖のゲームでこういう作りだったからそういうものだとしか思わなかったけど、良く考えるとしっかり作られていたんだなと思う。


「中でもこのハニカムを薄い板で挟む構造はハニカムサンドイッチ構造と呼ばれていてね。本当は何重にも分厚い障壁を張るのが一番固いけど、それだと魔力の消費が激しいでしょう?」


「はい……そうなんです」


 思い当たる節はあったようだ。試したことがあるのかもしれない。


「魔力の消費を押さえるには間を空洞にしたいけど、それだと脆くなっちゃう。その対応策として、蜂の巣を間に挟むような二重障壁を張るの。最初は六角形が大きくてもいいから、やってごらん?」


「はい!」


 エルーちゃんは言われるままに張る。僕はさっきと同じ蹴りをいれると、今度はガシッと音がして弾かれた。


「すっ、すごい!」


「六角形の一辺に衝撃が来ると、衝撃が来なかった残りの五ヶ所にも衝撃が分散されていくの。だから、もう少し六角形の筒を細くして密にできるとより頑丈になると思うわ」


 前世では段ボールや飛行機の一部などにも使われていたこの構造。頑丈さと軽さが共存できる構造でもある。障壁に重さは必要ないけど、張るのに魔力の消費が必要だから、軽いものの方がいい。


「はい!」


「じゃあ今度は私も攻撃していくから、エルーちゃんも今まで習った攻撃と防御を使って闘ってみて」


「はいっ!お願いします!」


 元気良く頷いたエルーちゃんと再び特訓を再開した。




 その後試験の日まで、僕たちは試験勉強と実技の練習に明け暮れていった――

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