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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第15章 禍福倚伏
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第118話 政権

 夜。


 僕は昼間の冒険者ギルドでの行動について、エルーちゃんに怒られていた。


「も、もう!本当に心配したのですからね!」

「ご、ごめん……でも、この方が手っ取り早くて良かったから……」

「全然よくありません!もう少しで、ソラ様があの男達の慰み物にされるかもしれなかったのですよ!?」


 慰み物て……。


「でも、エルーちゃんは私のステータスを見ていたでしょう?それでも、信じられなかった?」

「そ、そういうわけではないですけれど……。でも、それとこれとは違います!」


 エルーちゃんは僕の手を取る。


「もっと、御自身を大事にしてください。ソラ様に何かあったら私、泣いてしまいますよ……?」

「ご、ごめんね……」


 するとがちゃりとドアが開く。


「……あら、お邪魔だったかしら?」

「お、お帰りなさい、二人とも……」


 ゆっくりと夕食を済ませて帰ってきたミア様とフローリアさん。


 僕たちは四人部屋の中でお互いに聞いたことを共有することにした。


「私たちが聞いたのは二つ。ひとつはアレクシア女王がご病気か何かで近々崩御されるかもしれないという噂よ」

「それは私たちも聞きましたね。女王には娘のアイヴィ王女がいるみたいですが、彼女はまだ8歳で女王としての役目を果たせるのか不安だと……」


「もうひとつは、近々王城で貴族のパーティが開かれるらしいわ。女王様の具合がよろしくないから、王の義姉であるリタ様が開催することになったそうなの」


 それは聞いたことがない情報だ。


「そこまでを聞くとリタさんという方はいい人に聞こえますね……」

「ということは、シエラちゃんは違うことを聞いたの?」


 僕はゲンさんに聞いた話をし始める。


「リタさんは8歳のアイヴィ王女の代わりに、とある公爵家の娘を自らの養子として招き入れ、女王に擁立しようとしているという噂がありました。ただ、どの公爵なのかは分かっていないみたいですので、信憑性があるかどうかは分かりません」

「なるほど、新しい女王の親になることで、実権を握ろうとしているのね……」


 他にもいくつか情報があったけど、どれも大きなニュースではなかった。


「それとエレノアという名前に覚えがないかと聞きましたけど、誰も知らなかったんですよね……」

「こっちも聞いてみたけれど、全て空振りだったわ。あれだけの天才なら、こちらの国にいたときも何かしらで有名になっているかと思っていたのだけれど……」

「考えられるとしたら見向きもされないような平民やスラム住人で名前がなかったか、もしくは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()か……」

「まさか……!?」

「エレノア様が、公爵家の令嬢……!?」


 突如聖国から連れ出され姿を消したことも、この騒動の一員となっているのなら話は通る。


「元公爵家の令嬢であるエレノア様が王家の跡取り問題に巻き込まれ、連れ戻された。そしてリタさんは自分が政権を握るために王家主宰のパーティで密かに次期女王をエレノア様にすることを発表するつもりであると考えると、辻褄は合いますね……」


「ちょ、ちょっと待ってっ!?それじゃあ、このままいくとエレノア様が次期女王になるってこと……!?」


 エレノア様の行方不明は、僕の予想を遥かに上回る規模の大きさになりつつあった。

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