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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第15章 禍福倚伏
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第116話 北上

 出掛ける前に聖女院に寄る。


 今回のことで報連相の大事さを学んだからね……。


 サクラさんに会いに行くとルークさんも一緒にいた。


「……そう、エレノアちゃんが……」

「では、北の国に?」

「はい。行ってきます」


「ついでだから行幸も済ませてきちゃったら?」

「……そうですね……。余裕があればそうします」

「じゃあアレンを……」

「いや、私一人で行きますよ。流石にあんなことがあったんですから、サクラさんはアレンさんと一緒にいるべきです」

「ソラちゃん……」


「ソラ様、であれば私が……」

「お仕事、放ってはいけないでしょう?」

「……」


 僕がそう言うとルークさんは閉口した。

 ルークさんにはいつも迷惑かけているから、こんなことで連れていくのはさすがにね……。


「北の国の王族には気を付けるのよ」

「何を……?」

「あの秘密主義国家は、いつも何かを隠している。私はそう感じているわ……」




 教皇龍(ハープちゃん)に乗って北の国フィストリアへ向かう。


 フィストリアは女王が国を治める国家だ。

 神秘的な景色が多い観光名所だが、一年中雪や氷にまみれた気候の国だ。




 ハープちゃんは目立つので、フィストリアの手前で降りて厚着に着替え、残りは徒歩で行く。


「ふう……ついた……」


 雪の降り積もる山々に囲まれて自然にできた巨大な湖。

 その湖の中央には氷の浮き島があり、白い王城がぽつんと立っている。

 ここだけ見ても、まるでお伽噺のような景色だ。


 実は浮き島のように見えるそれは水面に浮いているわけではなく、あの中央の部分だけ下に土台があり、その土台が氷で覆われているだけだったりする。

 だけどそれを言ってしまってはロマンチストに後ろから刺されてしまうかもしれない。




 人がいないところに移動してからワープ陣を敷き、朱雀寮からフローリアさん、ミア様、エルーちゃんを迎えてまずは宿を取る。


「あっという間についてしまいました……」

「流石はシエラちゃんね!」


 僕が、というよりハープちゃんがすごいんだけどね……。


「ええと、四人別々の部屋でいいですか?」

「い、一緒で大丈夫だよ!」

「そうよ、お金がもったいないわ。四人部屋でお願いします」

「はいよ」


 フローリアさんが勝手に決めてしまった……。

 まあでも三人中二人は知っているし、ミア様にだけ気を付けていれば大丈夫かな……?


「さて、散策ついでに調査しましょうか。丁度4人なので、二人ずつに分かれましょう。私はエルーちゃんと冒険者ギルドに行こうと思います」

「じゃあ私たちはショッピングついでに飲食店で情報を集めてみましょうか」

「では、夜にまた会いましょう」


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