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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第15章 禍福倚伏
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第114話 雲隠

 翌日、聖女院図書館の司書さんからエレノア様が最後に借りたクラフトアイテムについての書物が返却期間を過ぎても帰ってきていないとの連絡があった。


 朱雀寮を見回したがいなかったので、聖女院に行っていると思いワープ陣から向かう。


 クラフト研究室に着くと室長のアンネさんがこちらに気付く。


「やあソラ様、何か用?」

「アンネさん、こんにちは。あの、エレノア様はいらっしゃいますか?」

「ちょうど僕もその事を聞こうと思ってたんだ。最近エレノアがなかなか来なくてね。ソラ様が何か知っていないかと」


 あれ?

 ここにもいないのか……。


「私は図書館の司書さんからエレノア様が借りた本が期限が過ぎても帰ってきていないと連絡がありまして……」


 エレノア様は朝には弱いけど約束を破るような人ではない。

 僕はアンネさんと顔を見合わせる。


「これは……」

「何かあったのでしょうか……?」




 その後も色々な人に聞いたが空振り。


 寮に戻ってミア様やフローリアさんにも聞いたが、どうやら先週から姿を見ていないらしい。


「エレノア様、最近はよく泊まりがけで聖女院に行っているから、向こうにいるものだと思っていたよ……」

「ごめんなさい、こういうのは私がきちんとしないといけないのに……。少しいい加減になっていたわ……」

「過ぎたことは仕方ありません。これから直していけばいいと思います。ですがそれよりいなくなったエレノア様の行方を追わないといけません。何か手がかりになる情報がほしいのですが……」


 三人でうんうんと唸りながら考える。


「うーん……帰省したとか?でも去年は帰省なんてせずに一年中寮にいたような人だし……」

「フローリアさんはエレノア様の故郷をご存知ですか?」

「ごめんなさい、エレノアちゃんの故郷は私も知らないの。彼女がどこから来たのかを知っているとしたら、彼女を寮に連れてきたときに付き添っていた学園長くらいじゃないかしら……」

「なるほど、学園長ですか……分かりました。とりあえず聞いてみますか……」






 シエラとして学園の学長室へ向かうと、途中でマリエッタ先生に会った。


「シエラさんっ、こんにちはっ!どうしたのですか?」


 手を伸ばすマリエッタ先生は僕への抱っこの催促がお上手だ。


「エレノア様が行方不明なんです。クラフト研究部にはいらっしゃいませんか?」


 途中の職員室まで一緒なので、マリエッタ先生を抱えて癒しを貰いながら歩く。


「うーん、夏期休暇中は週に一回ほどで集まれる人は集まっていますが、今日はその日じゃないですね……。さっきまで実験室にいましたから、集まっていないことは確認しましたし……」

「そうですか……ちなみに先生はエレノア様の故郷をご存知ですか?」

「……ごめんなさい、わからないです……」


 こっちも空振りか……。

 しゅんとするマリエッタ先生に少し申し訳なくなった。


「今日は学園長はいらっしゃいますか?」

「ああ、今日はお休みなんです。確か、辺境伯領に帰省されているみたいですよっ!」

「そうでしたか……」


 こちらもタイミングが悪かったようだ。

 でもエレノア様の件は急を要するかもしれない。

 ソーニャさんの時みたく手遅れになる前になんとかすべきだろう。


 そう思った僕はマリエッタ先生(癒し手)を送ったあと、クロース辺境伯領へと向かうことにした。

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