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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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エピローグ 次代

「えっ、おめでたですか!?」

「ええ!ふふ、ルークの子よ」


 慌ただしい結婚式ラッシュが終了し、秋空がからりとしてくる頃、リリエラさんからそのようなご報告があった。


「おめでとうございます!でもルークさん、ちょっと手を出すのが早いのでは……?」

「いつからお仕込みに……?」

「皆さん、言い放題仰いますね……」

「違うわよ。私が求めて妊活していたの!むしろ結婚式前からやってるのだから、遅い方よ!」


 義理とはいえ家族だからって、そこまで赤裸々に話さないでよ。


「これでソラもおばさんね」

「せめておじさんって言ってよ……」


 でも、こうして家族が増えることは素直に嬉しい。


「私はずっとは生きられないけれど、きっと私の子達がソラのお世話をしてくれるわ」

「そこは好きなことさせてあげてくださいよ……」


 それに、どうして僕がずっとお世話され続ける前提なんだ。




 ◆◆◆◆◆




『今日よ!』


 それからしばらく経ったある日、ドヤ顔でそう告げるエリス様に、聖女院の一同が首をかしげる。


「また唐突ですね……何が今日なのでしょうか……?」

『首かしげるのもぎゃんかわ……じゃなくて。エルー、ソラ君。「今日」よ!』

「「あっ……!?」」


 その合図は、近い未来への予言の類いのもの。


「お赤飯ですかっ!?」

「いや、それは既に終えてるでしょ、メルヴィナお姉ちゃん……」

「では牡蠣やレバーをご用意いたしますね」

「東子ちゃん、まだ昼前だってば」

「しかし、妊活を初めてまだ半月も経っていませんのに、もうですか……」

「ソラ様のは、それほどにお元気で生命力が強いのですね……」

「そうですよね、毎回あんなに濃いですからね……」

「うぅ……。公開処刑だよ、こんなの……」

「大丈夫です、分かっております。この日を待っていたのですから……!」


 そう、今日僕はエルーちゃんを……。


「ソラ様。きっと明日頃、私は受精するそうです」

「うん。嬉しい」

「はいっ!今夜は私を、めちゃくちゃにしてくださいね」




 ◆◆◆◆◆




 精のつくものを食べ、お風呂でしっかりと身を清め、着々と準備が整っていく。

 お仕事やお手伝いなんて何も手が付かず、ただ僕はエルーちゃんに先程言われた「めちゃくちゃ」を遂行するためだけにひたすら我慢をする苦行に見舞われていた。

 でもこれも、大切な僕たちの子を成すため。


「んっ……」


 エリス様が現人女神に戻ってから得た、近い未来の予知能力。

 普段は災害などの対策に使っている能力だが、妊活を始めた僕たち限定で、いつの行為で受精するか予知してくれるようになった。

 これは本来、妻の多い僕に対して妊活をスムーズに行い、無駄をなくすためにエリス様が考えてくださった予知なのだけれども。


 しかしエルーちゃんは自分が受精する日を事前に知ることで、「今宵受精するという未来を知り興奮を覚えながら致したい」という自らの三大欲求の一つを満たしたいがためだけに教えてもらうことを選んだのだ。

 とんだドエロ大魔神だ。


「エルーちゃんのせいで、他の妻たちも『私のときにも同じことしてほしいって』エリス様に嘆願する始末だよ。全く、エリス様はなんてものを教えてしまったんだか……」

「はぁっ、はぁっ……もう既に、頭がチカチカしております……!それに、興奮しているのは、私だけではございませんでしょう……?」


 そりゃあそうでしょう。

 今日の行為で受精するなんて知られて、平静でいられる方がおかしいよ。


 今日昼に聞いたときからずっと張っていてろくに妻以外には見せられない状態になっていて治まることを知らない僕のテントに、エルーちゃんは口付けをして挨拶を交わした。


「んっ、もぉ……!」

「ふふっ、可愛らしい牛さんです♪」

「今から搾り取ろうとしてるくせに……」

「ソラ様、私に幸せの種を授けてください」

「一緒に種を育てていこうね、約束だよ?」

「はいっ!」


 エルーちゃんは僕をその天使の羽で包み、そして僕もまたエルーちゃんを天使の羽で包み、抱き締め合う。

 これからきっと沢山の子に囲まれていくであろう、僕たちの家族計画への第一歩を踏み出したのだった。

〈了〉

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