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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第998話 神法

『新婦エルーシア』


 エルーちゃんは真っ白なウェディングドレスにヴェールを被り、先に空へと飛び立つ。


『あなたはソラを()とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も――これを愛し、助け、慰め、敬い、その命ある限り真心を尽くすことを私に誓いますか?』

「はい。女神エリス様に誓います」


 ねぇ、なんで僕、妻扱いになってるの?


『新()、奏天』


 だからなんで妻なんだよ……。

 僕も真っ白なウェディングドレスを見に纏い、その天使の羽をはためかせエルーちゃんのいる空中へと向かう。


『あなたはエルーシアを妻とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も――これを愛し、助け、慰め、敬い、その命ある限り真心を尽くすことを私に誓いますか?』

「はい。女神エリス様に誓います」


 ウェディングドレスが白であるのは「あなたを私色に染めて」という意味から来ている。


『指環の交換を』


 僕たちが顔を見合わせ指輪をお互いの指へとはめたとき、それがトリガーとなって僕たちは真っ白な光に包まれる。

 やがて光が眩しくなくなると、白だったウェディングドレスは見事にお互いの色に染まったのだ。


 僕のドレスは水色に、そしてエルーちゃんのドレスは黒に。

 本当の意味になるウェディングドレスはエレノアさんが考案してくれた素敵なものだ。

 僕も着る側になるとは思っていなかったが、こういうロマンチックなアイデアは素直に好きだ。

 何より最愛の人を自分色に染めるなんて、男にとっては本望のようなものだろう。


『誓いのキスを』

「エルーちゃん、幸せになろうね」

「はいっ!」




 重婚の場合、結婚式は一人ずつ行う。

 平等に愛を誓い合うために、婚姻の契約は個人ごとにするのだそうだ。


 今回の結婚式では学園を卒業している人達のみ。

 それでも13日連続の結婚式が待っているとなると流石に準備する側も祝う側も大変だ。

 そこで一日に三人行うこととし、毎日ではなく3日に一回とすることとなった。


 本日の予定はエルーちゃん、涼花さん、エリス様の順だ。

 そして、僕たちの本命はこの二人目だった。


 何故かというと、今日は涼花さんのお誕生日。

 だから涼花さんに皆でサプライズを用意したのだ。


 何故結婚式をエルーちゃんの誕生日ではなく涼花さんの誕生日にしたのか。

 それは涼花さんの誕生日にエリス様が涼花さんに与えられた『エリス様がなんでもしてくれる』一回限りの権利を渡すつもりだったからだ。


 邪神討伐部隊の中で一番序列が低いのが聖女の第一子である涼花さんだ。

 だから女神であるエリス様に無茶なお願いは言い辛い。

 そこで用意したのが、今回のサプライズプレゼントだ。


『今回、私は神父役を降りるわ』

「は……?」

『もっと相応しい者にお願いするのよ。あなたへの誕生日プレゼントにね』

「はっ、ま、まさか……!?」


 エリス様は一つの青い魂を天庭から取り出すと、その魂を両手で抱える。


 その周りを僕と大天使達で囲い、その魂を球体型をした虹色の神力で包み込む。


「まさか、こ、これは……!」

「神の御業……!!」


『――何万と続く聖戦を戦い散った、勇猛で聖なる魂よ――』




 紺碧薔薇会の皆様やブルームお義父さんが固唾を飲んで見守るなか、エリス様が口上を唱え始めた。




『――今現人女神エリスが(めい)(もっ)て、ここに顕現せよ――』




 聖墓でエリス様が独り言をつぶやいていたのは、魂と会話をするためだったのだ。




『――神法・聖者転生――』




 それは、離ればなれになってしまった彼女を取り戻す、唯一の手段として開発された、新たなる神の法。




「涼花……大きくなったね」




 やがて虹色の球体が霧のように紛れていくと、そこにはかつての男勝りで人気を博していた女傑の姿があった。




「は……母上っ……!!」

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