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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第989話 逃避

「ソラ様よわよわ?」

「うっ……」

「情けなぁーい?」

「うぅっ……」


 まるでいじめられた子ペンギンのような構図で、子供達によってたかられながら罵倒されていた。

 

 ここは西の国セイクラッドの聖寮院。

 リリエラさんに暇を出され、家出をした僕は聖寮院に来て無邪気に遊ぶ子供を見て癒されていた。

 こういうことは初めてだったのだけれど、僕が現実逃避して癒される場所としての候補は三ヶ所あった。

 聖寮院と小人族の里、あとはぬいぐるみ専門店だ。

 今日は聖国と西国と東国の聖寮院の孤児が西国の聖寮院にお泊まりして遊んだり学んだりする夏休み週間なのだそうだ。


 ソーニャ聖国聖寮院長はお仕事で出掛けていて、今いるのはマリエッタ西国聖寮院長と神流東国聖寮院長。


「こらあぁっ!変な遊びはやめなさぁいっ!」


 子供を追っかけ回すマリちゃん先生はまるで子供同士の遊びを見ているかのようで癒される。


「こらこら、ソラ様に失礼でしょう?」


 対してエプロン姿がよく似合う神流ちゃんは包容力の塊だ。

 将来いい奥さんになりそう。

 二人とも弟や妹がいるから、扱いには凄い手慣れているようだ。


「いいのいいの、神流ちゃん。今の私が情けないのは事実だから……」

「そう卑下なさらないでください。何があったかは存じ上げませんが、ソラ様がいらっしゃることは子供達も……その、私も嬉しいですから」


 あまり甘えてくれない聖徒会長だから、こうして甘えてくれるのは嬉しい。


「そうだ!私、マリちゃん先生と小人族の子供作れるようになったんだよ」


 光を帯び小さくなると、やがて身体が小人族の姿になる。


「かっ……」

「「可愛いぃ……!!」」


 思わず抱き抱えてきた神流ちゃんにママみを感じる。

 小さくなったからか、余計に胸の包容力がすごい……。


「ふふ、まだおっぱいは出ませんよ……?」

「いや、子供になったわけじゃないから……」

「ですが、このお姿を初めに見たのが私達でよろしかったのでしょうか?」

「いいのいいのっ!減るもんじゃなしっ!」


 おお、小人族の姿、喋るのが大変だ。

 マリちゃん先生もステラちゃんも一生懸命喋っていたのには理由があったのか。


「も、もしかしてそれでは……狼獣人の姿になることもできますか?」

「えっ……ああ、うん。出来るよ」


 一旦もとの姿に戻ってから、ぬぬぬと踏ん張ると、狼の尻尾と耳がぴょこりと飛び出してくる。


「っ……!?」

「「か、可愛いいい~~~~!」」


 いつもよりも尻尾をブンブン振る神流ちゃんを見て、好みのツボに入ったのがなんとなくわかる。


「わふっ!」

「あ、リル様っ!」


 すると、いつもミィちゃんのそばにいるリルが僕に向かって跳んできたのだ。


「ぐふぅっ……!?」


 二メートルの犬が跳び蹴りをくらわせてくると、そのまま押し倒されてしまった。

 僕が獣の仲間になったことが余程嬉しかったのか、口元も顔もわからずベロベロしてくる。


「ハッハッハッ……」

「んむ、こらっ!リルってばぁっ!そんなっ、舐めないでぇぇっ!」

「なっ……!?フェンリル様!舐め回すなんて……もし間違いが起きてしまわれたら、どうするつもりですかっ!」


 いや、そんなくわっ!って怒鳴らなくても。

 リルもよく間違えられるけど……男同士だよ、僕達?


「こうなれば、私も……獣化っ!」


 嫉妬した神流ちゃんが獣化して狼の姿になるものの、それを狙う新たな刺客はすぐそばにいた。

 それも、沢山。


「あっ、オオカミさんだぁっ!」

「かんなさまっ!もふもふさせて!」

『あ、こらちょっと!やめなさい!』


 やはりもふもふは老若男女全てを狂わせる。

 そんなことを思いながら、僕はこの癒しの空間を眺めていた。

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