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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第965話 不義

「次の件ですがヴァルグリード殿、捕えた魔族達に心当たりは?」

「全員の顔を見ないと分かりませんが、魔帝陛下の和平の方針に逆らっていた連中が徒党を組んだのかと」

「魔族は本来力こそ正義で、このような闇討ちなどとは無縁だと伺っていますが?」

「ええ。最初は正面から力で支配しようと考えていたのでしょうが、我々は魔力の放出を肌で感じることができる。大方、人間の中でも強い存在を知り、勝てないと悟って悪知恵を働くようになったのでしょう。まとめて突き出せば反対派を一網打尽にできるかと」


 僕やマリーナ、涼花さん、ソフィア女王などここにいる人達を見ればある程度手強いことは分かるか。


「そもそも反対派の意見とは?」

「力を示さずに和平を結ぶことに対する反発、でしょうか?」

「つまり、魔帝陛下と同等以上の力を見せろと?」

「概ねその通りでしょう」


 ヴァルグリードさんも期待しているみたいなので、別に反対派だけでなく魔族の大半がそう思っているのだろう。


「ひとまず言い分は分かりました……。どのみち彼らの仲間がまだどこかに潜んでいるはず。後で聞き出しましょう」

「そう簡単に口を割るでしょうか?」

「割らせるので問題ありませんよ」

「師匠が言うと洒落になりませんよ……」


 別に拷問とかはしないってば。

 僕をなんだと思ってるんだ。


「そもそもあれだけの大人数の魔族の侵入をどうして許したのかを問い詰めたいところですね……」


 いくら手が回らなかったとはいえ、ザル警備にも程がある。

 僕が招いた平和ボケなのかな……?


「実は……どうやら魔族というと魔王のイメージが強く、貴族間でも和平に反対の者も多いのです」

「魔王は一部の魔族であり、魔族もまた被害者であることをもっと周知する必要がありますね……」


 こういうのは僕たち聖女院の役目かな。


「それはそうと仕事を増やすわけではないですが……今後も聖女院の来賓を招くおつもりであるのでしたら、聖女院の承認があるまで警備の強化をしていただくしかないですね」


 半分脅しだけれど、それだけ気が緩んでいた証拠だからちゃんとしてもらいたい。


「最後にルージュ子爵令嬢の件です」

「うっ……」

「さぁ、説明していただきましょうか……」


 要約すると、ルージュちゃんはフィリップ君に幼い頃助けてもらったことがあるようだ。

 だから当時は多少の恋心があったらしく、婚約が成立する前に既にルージュちゃんが次期公爵になる話があったため、ならばとソフィア女王は格式的にまだ釣り合いの取れる伯爵家との縁談を薦めた。

 ただ王家が決めた婚約はシュライヒ公爵としては逆らえない。

 その上一週間も帰らず報告も途切れ、マークお義父さんはルージュちゃんのお相手の状況をあまり知らなかったそうだ。


 ルージュちゃんが優秀すぎた故かフィリップ君は嫉妬に駆られ、間違った方向に歩みを進めてしまった。


「婚約者を差し置いて他家の令嬢と行為に及ぶなど……育て方を間違えましたね、伯爵」

「面目次第もございません……」


 呼び出しを受けたクロムウェル伯爵夫妻は平謝りするしかなかった。

 不義と罵った件に関して慰謝料と婚約破棄は免れないだろうが、牢に入る程のやらかしはしていないと判断されてフィリップ君は釈放された。

 彼は今後この失態を一生言われ続けることになるので、牢に入っているのとどちらがマシかは正直分からない。


 問題は、ペリドット嬢だ。


「陛下、ルージュ・テーラー子爵令嬢が目を覚ましました!」

「こちらに連れてきなさい」

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