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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第952話 解釈

「おや、凛ちゃんおかえり。東子ちゃんもおかえり」

「……ひ」

「ひ?」

「ひぃん、解釈違いぃ……!」


 僕を見た凛ちゃんは伽の時の僕より情けなさそうな声を漏らしていた。


「何してたの?」

「エリちゃんに私の褒賞が無効だって言われたんです。天先輩を救うのはエリちゃんの我儘だからって。だから新しい褒賞を考えなきゃいけないなと……」


 僕がこうして天使として生きているのは凛ちゃんが望んでくれて、エリス様にそれを叶える手段があったからに他ならない。


「凛ちゃんは褒賞、どうするつもりなの?」

「まだ考え中です。私が勝手に永遠の命を手に入れたとして、そうしたら困るのはお世話してくれる東子ちゃん達だと思うから……」

「私がいなくなっても、第二、第三のメイドを雇えばいいのでは?」


 そんな四天王みたいな言い方しなくても……。


「私、東子ちゃんがいないときっと卑屈になっちゃう気がする……」

「そうしたら、私の未来の子にお世話させましょう!」

「未来の子には自由にやりたいことしてほしいけどな……」

「……きゅんっ!」


 ……鳴き声?


「必要なら僕が東子ちゃん含めて天使化できないかお願いする手もあるよ?」


 既に僕の願いはエリス様の好意で何度も叶っているようなものだし、妻がしたいことになにか障害があるのなら、それを取っ払うために使う方がいいだろう。


「いいえ。私には過分でございますから。憧れのソラ様の末席に置かせていただけるだけで十分でございます。ですが、もしリン様が私次第でお考えを変えられるようでしたら、吝かではございませんが」

「覚悟決まりすぎだよ……」


 腰がくねくねとしている東子ちゃんの視線の先には7年後のエルーちゃんが居た。

 いや、東子ちゃんの動機、どう考えても煩悩の塊だと思うけど……。


「もしこの世界に来られなかったとしたら、僕は凛ちゃんを選んでいたと思うな。もっと自信を持って!」

「ふふ、カエルム様、仕草が淑女になられてますよ」

「おっと……」


 慣れていないから、気を抜くとすぐ女装していると勘違いしてしまう。

 やっぱりもう僕は女装がデフォルトになってしまって、男装に違和感を感じ始めているのか……。

 自分で言っててどんどん悲しくなってくる。


「カエルム様、ドレスの準備が整いました」

「ああ、ん……?」


 「僕にはドレスじゃなくて、燕尾服では?」と言いかけた僕のそばには、僕が目を通してすらいない黒色のシックなドレスがあった。


「ま、まさか……」

「私、七年後のお姿を一目見たときから、絶対にドレスがお似合いだと思っていたんです♪」

「や、やめ……マリーナ!」

「ほら、ロングヘアーがとてもお似合いでございます!」


 あ、やめて、着せないで……!

 しかし、どうしてこう言う時だけは一致団結するんだ、この子達は……!


 鏡の前に立つと、黒色のワンピースドレスに薔薇模様が描かれ、少し半透明に透けたようにも見える。

 しかし、黒髪をロングに伸ばすと、なんだか悪役令嬢にもみえなくもない。

 この姿で今まで通りの口調なのも違和感がありそうだ。


「もう、勘弁して頂戴……」

「…………!」

「こ、これが、究極完全体ソラ様……!」


 どちらかというと退化してるよ……。

 妻達とメイドさんとドレスデザイナーさんと、そこに居た全員が驚く口を押さえていた。

 僕がカエルムの姿を見せたときよりも、皆が無言で顔を真っ赤にしていてなんだか納得がいかない。


「ぶ、ぶおっほぉっ!?」


 あ、東子ちゃんが盛大に鼻血吹いた……。

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