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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第947話 変声

 自分が今から7年後の未来の姿を想像しろなんて言われても、正直難しい話だ。

 でも未来の自分の姿なら、エリス様に頼めばいいとエルーちゃんに教えてくれた。


「ぷくぅ?」


 なにこれ?


「おかんむりで拗ねていらっしゃる、かわいいソラ様ですね」

『あっ、これは違うのよ!間違えただけで……』


 それいつ撮った画像だよ……。


「エリス様、あとでそちらいただけますか?」

『いいわよ?』

「ちょっ……!?ならエルーちゃんのぷくぅ画像もちょうだい。それでおあいこでしょう?」

「構いませんが……」


 息を吸い込んで、ぷくぅと頬を膨らませるエルーちゃん。

 くそぅ、可愛いな全く……可愛すぎる。

 僕だけ恥ずかしがって、ずるいよ……。


「いちゃついてないで早くしなさい」


 マヤさんに叱られてしまった。


『エルーはこっちよ』

「は、はいっ!」


 しきいを分けてから身体をいじる。

 顔を見合わせたときのお楽しみだが、なんだかドキドキする。

 きっとお互いに7年後の自分が相手に受け入れられるか不安なのかもしれない。


 力を取り戻したエリス様は、なんとある程度の未来視ができるようになったらしい。

 エリス様が僕のパパを連れてきたのは、パパと僕を会わせれば記憶が戻ることを知っていたからに他ならない。


 ただ精度としては高くなく、全体の未来は数日未来でさえ外れたりするらしい。

 ただ個人を限定して未来を視るとその精度は高くなるみたいなことを言っていた。


 だから25歳の僕たちの姿をエリス様が視て型を作ってもらい、僕たちはその通りに変身するだけでいい。


「ソラ様……!爽やかさに磨きが……!」

「へぇ……面影はあるけれど、中性的でいい男じゃない」


 なんと、身長が20センチも伸びたのだ。

 やはり僕は遅咲きだったのか……!

 苦手ながらに牛乳を毎朝飲んでいて、ようやく報われる時がきたようだ。


 あまり期待してはいなかったけれど、大して筋肉は付かなかったらしい。

 でも全く付かなかったわけではなく、腹筋とかは少しついているようだった。

 そして髪を短くすれば、流石にもう女だと言われることはない。


「しかし、背が伸びても貴族令息止まりなのは……」

「でもまだ女装、似合いそう……」


 意味分かんない韻を踏まれた。

 エレノアさんにソーニャさんまで……というか、みんな仕事の手を止めてまで見に来ないでよ。


「エルーちゃんも、テレシアさんによく似てきたね。とっても綺麗だ……」

「「「っ!?」」」


 身長は15センチくらいは伸びただろうか。

 変装のためとはいえ、ふんわりとしたお団子ヘアを降ろしたのは英断だったかもしれない。

 水色の透き通ったロングヘアがまるでオーロラの夜空を見ているように彩りを感じる姿だった。


 元々お胸も手に収まる丁度よさがあると以前話したと思うけど、CからEくらいに上がっているのは、相対的に25歳の姿の僕の手が大きくなったから……いや、関係ないか。


 普段より15センチリーチが長いと違和感があるな……。

 ちょっと身体を慣らす必要がありそうだ。


「ソラ様、お声が……!?」

「本当だ!なんだか違和感があるね」


 声変わりしてるっ!!

 今まで一度も来たことなかったのに……!


「あのキューテストボイスが……」

「いや、まぁもとに戻ればいつでも聞けるでしょ」

「でも、その中性的なお声も素敵ですね」

「エルーちゃんも急に大人になったみたいで、ドキドキするよ」

「ソラ様……」


 元の地声がソプラノくらいの高音女性の声だったので、中性的な男性音域にまでなれたのは快挙と言ってもいいだろう。

 けど声の出し方もパーティーまでに練習しないといけない。


「ソラは(カエルム)・エドウィン。エルーは(マリーナ)・エドウィンを名乗りなさい」

「ありがとうございます、マヤさん。しばらくは慣れるためにこの姿で過ごそう」

「はい、カエルム様!」

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