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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第946話 偽装

 結局、僕のパートナーを勤めてくれる人はエルーちゃんに決まった。


 というか僕の妻たち、みんないいところの貴族の出だから顔を知られちゃってるんだよね……。

 シルヴィや教皇龍(ハープ)ちゃんはボロを出しそうだし、凛ちゃんもバレバレだろうし。

 吸血鬼のアヴリルさんはSNS(セインター)を代表するインフルエンサーだから知らない貴族はいないくらいだし、ソーニャさんはそもそも行きたがらない上にSランク冒険者で名が知られてしまっている。


 となると、残るのはメイドのエルーちゃん、東子ちゃん、そしてメルヴィナお姉ちゃん。

 東子ちゃんも学園では顔が知られてきているから学園生がいる場合にそれ伝手でバレてしまう。


 それにメルヴィナお姉ちゃんや東子ちゃんはそもそも貴族をお世話する側のマナーしか学んでいない。

 残る招待状受け取り者はエルーちゃんになるのだけど、エルーちゃんこそSランク冒険者だし、一番知られているだろうと思うことだろう。


「姿を偽装して参加するのなら、その魔法が維持できる人間なら誰でも良かったのでは?」

「何なら、妻でなくとも護衛でも……」

「流石にそれは一度考えてるよ。魔法で顔を偽装するのは簡単だけど、魔法で顔形を作っているとなんとなく分かる人には分かっちゃうんだよね……」


 偽装して藤十郎副隊長やケイリー小隊長を連れていくことも一度考えた。

 でも結婚してまだ一年も経ってない二人の片方を偽装とはいえパートナーとして連れていくのはどうなのかと思った。


 まぁあと藤十郎さんはイケメンで有名人で元貴族ということを差し引いたとしても普通に背が高い人だから、偽装したとしても背の高さまでは魔法では誤魔化せない。

 だから余計な虫がついてしまうのも避け、今回は見送ることにした。


「それに、妻以外の人を横に置く気はないよ」

「ソラ様……」

「でもそういえば、どうしてエルーちゃんは貴族のマナーやダンスまで学んでたの?」


 一応ダンスに関しては学園でも触れはするけれど、聖女学園は平民にも門戸が開かれているため、最低限のマナーを学ぶ程度だ。


「リリエラ様に教えていただいたのです。ソラ様からお心をいただくより前に敏いリリエラ様は気付いておられましたから、いつか役に立つときが来ると……」

「たまにリリエラさんが未来予知者なのかと思う事があるよ……」


 間違いなく僕よりずっと地頭がいいよね。


「ふふ、魔法に関していえばソラ様に勝る者などいませんでしょう?」

「それ、エルーちゃんが言うの……?」


 以前は僕の方しか最上級魔法が使えなかったからエルーちゃんに食いついていたけれど、同じ上級魔法までの縛りだったらもうエルーちゃんに勝てないのに。

 そして水の聖女になって水の最上級魔法を覚えた今、僕はエリス様の加護が寵愛に変わった。


 扱いは大天使だけれど、権限は女神エリス様と近いものがある。

 とくに変わったのは『加護』と『寵愛』だ。

 加護は与えたものによってその恩恵が変わる。

 教皇龍(ハープ)ちゃんなら光『属性』を『強化』するし、朱雀なら火属性を強化する。


 そして僕の加護がレベルやステータスを司るのに対して、エリス様はすべての属性を司る。

 だからその一部である光『属性の最上級魔法』を僕たち聖女に『付与』、つまり使えるようにしてくれるのが、エリス様の『加護』。

 そしてエリス様の『寵愛』は、僕に全属性とその最上級魔法を使える権利を付与してくれた。


 寵愛をもらったタイミングは神体を取り戻したタイミングなので偶然だろうけど、まるでエリス様は水魔法で敵わなくなった僕に救済措置を与えてくれていたのかもしれない。

 僕がエルーちゃんの才能に劣等感などを感じないように。

 でもそれ自体がズルをしているようなものだ。


「ソラ様はよく学園の成績や戦闘技能、魔法に関して『ズル』をしていると仰有いますが、でしたら私も相当に『ズル』をしていますよ。本来ソラ様が三年間も地道に研究し尽くして得た知識や技術を、私はいいとこ取りをして教えていただいているのですから」

「エルーちゃん……」

「……いちゃつくのはいいけれど、変装の件、どうするつもりなのかしら?」


 マヤさんに怒られてしまった。


「一応身分は私の名字を使っていいわよ。弟に迷惑がかからなければね」

「ありがとうございます。大天使の神体は便利なもので、魔法を使わなくても身体の方を直接いじれるんですよ。それも、遺伝子レベルで変えられるので、こんな風にハイエルフになって魔力視を得たり、小人族になったりできるんですよ」

「……」

「えっ、あっ、ちょっ!?」


 小人族になったところで、マヤさんに抱き抱えられてしまった。


「ソラとの赤ちゃん、私も早くほしくなってしまったわ……。後がつかえているのだから、早くなさい……」

「わ、わかりましたからはなひてくださいっ!」


 ぎゅっと抱き締めてくるマヤさんをどうにかすべく、僕は元の姿に戻ることにした。

 形状記憶のようなものがあり、神体を手に入れる前の姿が基本的に反映されているらしく、それ以外の姿を維持するのは体力……もとい神力が必要になる。


 言い換えれば、表情筋を駆使して変顔を作るというのを遺伝子単位で行っているようなもの。

 これを使えば小人族と交わって小人族を産ませることもできるが、むしろそういった一定時間の変身でないと正直しんどいだろう。


「でも、他種族になるのなら私の家じゃない方がいいわね……」

「いえ、今回は人種族のままですよ。でも、二人とも未来の姿になろうかと。僕たちの身体は18歳の時から止まっていますが……」


 よくアイドルは永遠の18歳なんていうことがあるけれど、本当に自分がそんなことになるとは思わなかったよ。


「そうですね、とりあえず25歳くらいになってみましょうか」

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