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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第925話 微睡

「おはよ」

「おはようございます」


 翌日、またエルーちゃんに起こしてもらう。

 どうやら眠い原因は身体の節々が細胞単位で分解されて離れようとしているものを無理やり抑えているから、常に細胞が緊張している、いわば全力疾走しているような状態らしい。

 なので休息が必要だと勝手に勘違いして、一人でいるとずっと眠ってしまうのだという。

 起こす人がいないと一生起きれないなんて、介護が必要になった老人のような気分だ。


「あれ、メルヴィナおねぇちゃん?」


 僕の寝ている間に、天使になってしまったらしい。

 メルヴィナお姉ちゃんはピンク髪になっていた。


「うふふ、どうですか?わたくしの天使姿♪」


 朝、二人の天使メイドさんにお世話されるというのはなんだか不思議な感じだ。

 今更ながら異世界に来た感覚がすごいしているというかなんというか。


 シルヴィもエリス様も羽が生えているけど、羽のサイズは二人ともほとんど変わらなかった。

 だから天使というのはみんな同じものだと思っていたけれど、どうやら違うらしい。


 エルーちゃんはみんなに比べて羽が少し小さい。

 それは単純にエルーちゃんが小柄だからなのか、それとも


「それは、お胸の大きさだそうですよ」


 ああ、そういえばメルヴィナお姉ちゃんももう天使だから心の声聞こえちゃってるのか。


「わたくしは元から()()()おりますよ」


 それもそうだ。

 羽の大きさは


「輪の形は()に比例しております。これはないしょですよ?」

「それと陥没ですと、輪が萎むのです」


 というかなんで天使の輪も羽も全部おっぱい関連なの、エリス様の趣味……?

 それにそれって、男だとどうなるの?


「殿方にも、ついていらっしゃるでしょう?」

「どちらかというと大胸筋かもしれませんが……」


 ああ、そういう……。

 いや、でもそれって天使の羽を見たら、ある程度形とかわかっちゃうんじゃ……。

 今度から天使の羽をまともな思考で見れなくなりそうだ。


 擦り合わせると身体が崩れるんだから、変なこと考えさせないで欲しい……。


「失礼します。聖女様方がいらっしゃいました」

「決めたのね」

「はい。行ってきます」


 最後に挨拶すべき相手と話をする。


「ソラちゃん、絶対に帰ってくるのよ……?」

「天先輩……」

「帰ってこなかったら、暴走してやるかんね……」

「ソラ君、帰ってこなかったらシル君貰っちゃうからね!」

「それは、いちだいじで……す……ね」


 それだけ言うと、また僕は眠気が襲ってきて、微睡みの中に意識が消えていくのだった――

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