表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
1169/1282

第920話 不能

「……さま」

「んぅ、えるーちゃ、あとちょっとぉ……」

「起きないと、キスしちゃいますよ?」


 エルーちゃんの声がするが、瞼がいつもよりも重い気がする。

 でもたくさん寝ていた気がする。


 微睡みの向こうからなかなか帰ってこれないでいると、ふいに身体が整った感覚を覚える。

 それがエルーちゃんの仕業だと気付きつつも、僕はやがて目を開けることに成功する。


「おあよ……」

「ソラ様っ!!」

「ソラ君っ!!」


 心配する第一声に、無言で僕に回復魔法を使うシルヴィ、そして横には疲れはてたように眠る凛ちゃん。


「ああ、そうか……ぼくはいかされたんだね」


 あれ、僕ってこんなに喋りづらかったっけ?

 なんだか、僕の身体がバラバラになっているような、そんな感覚。


「ソラ様、体調はいかがですか?」

「えっと……つっ……!」

「ソラちゃん!?」

「ううん、ずつうがするだけだからだいじょーぶ」


 なんというか、寝すぎて頭痛くて。

 そのはずなのに、まだ延々と眠気がやってくる。

 身体が休めと、そう訴えてくる。


「ねむい……どれくらいねてた?」

「もう4日間寝ておられます」

「そっかぁ……」


 頭がろくに働かない。


「エリス様方からお話があるのですが、大丈夫ですか?」

「ううん、つづけて。だいじなはなしなんでしょ?」


 多分次眠くなったら、もうずっと起きない気がする。


「今の旦那様は、神力が細胞の隅々に入り込んだまま離れず、細胞同士の引き合う力がなくなろうとしています。このまま主と私で一年かけて神力を全身から取り除けば、この現象も治まると思いますが、その間無事というわけでもございません」


 神の力は気軽に手を出してはいけなかった。

 でも、その力がなければ僕は死んでいた可能性が高い。

 だから後悔はしていない。


「ぐたいてきには、どんなふくさようが?」

「……現在進行形ですが脳の神経が切れて、場合によっては脳や動き、感覚に影響が出るかもしれません。また髪の毛が抜けたり、その……不能になったりします」

「な、なんてこと……!」


 神経が切れる場所によっては手足が動かなくなったり、目が見えなくなったり、物事が考えられなくなったりと色々な作用を及ぼす。

 神を降ろすという大それたことがその程度で済むなら……と思ったけど、エルーちゃんが口を抑えてひどく哀しんでいた。

 でもエルーちゃんや婚約者達は、今の僕や一年後の髪の抜けた僕を見て幻滅して婚約破棄するかもしれない。

 とくにエルーちゃんは僕の髪、好きだったからな……。


「ソラ様、私がそんなことで心が移るとお思いですか……!心外でございます……っ!!」


 しまった、もう僕の眷属になったエルーちゃんには僕の心の声が聞こえているんだった。


「ですが、世界をお救いになられたソラ様がそれでは、あまりにも……」


 子供を作れないのは痛手だけど、でも事前に精子を凍結しておいて良かったのかもしれない。

 でも、僕だっていたずらにエルーちゃんを哀しませたいわけじゃない。


「ねぇえりすさま」

『はぁい』


 僕の子供みたいなたどたどしい声に、エリス様の声が少し甘くなる。

 ロリコンショタコンって言うけれど、エリス様も少しそっちの()があるよね。


「いぜんえりすさまがしたおはなしなんだけどさ」

『……』

「えりすさまはかみさまのよういしたうつわに、ひとのたましいをいれることが『()()()()()()()()()()()()』っていってたよね?」


 永久にできないのなら、初めからそう言うはず。


「それって、まさか……」

「もしかして、あらひとめがみだったころの……いまのえりすさまなら、きおくをけさずにかみのからだにひとのたましいをいれることができるんじゃないの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ