表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第12章 韋編三絶
115/1282

第90話 寝坊

 翌朝。

 いつものようにエルーちゃんに起こされて下に向かう。


 共有スペースにはエレノア様とリリエラさん以外が皆揃っていた。


「おはようございます。リリエラさんは?」

「おはようございます、お義母様。リリエラ様はまだ起きていらっしゃらないみたいですね」

「ちょっと……。リリエラさんはソラだって知らないんですから、本人の前では言わないでくださいよ?」

「ふふ、分かっております」


 シェリー、ちょっと意地悪になって来た気がする……。

 まあ最初はびくびくしていたし、打ち解けたんだと思っておこう。




 その後ジリリリリと大きな目覚まし音がなると、エレノア様が降りてくる。


「おあよ……あれ?リリエラ君は?」

「まだ起きていないみたいですね……」


 朝、弱いのかな?


「ボクと同種のようだね」

「お義母様、このままですとリリエラ様が遅刻してしまいます……」


 セフィーも心配になってきたみたいだ。


「ここは誰か一人が起こしにいこう。そうだな……親友なのだしシエラ君が起こしにいくのがいいんじゃないか?」

「えっ……ちょっと!?」


 女の子の寝起きを起こすのはまずいと思うんだけど……。

 僕なんて、同性でも結構恥ずかしいと思ってしまうのに……。

 エルーちゃんに朝起こされるのに慣れるのにも少し苦労した。


 そんな心配は露知らず、うんうんと皆の意見が一致してしまう。


「そ、そんな……」


 頼みの綱のエルーちゃんはフローリアさんと朝食の支度中で気付いていなかった。


「わ……わかりましたよ……」




 時間もあまりないので、手短に起こせばきっと大丈夫……。

 最早自分を正当化させる理由になっているような気もするけど、そうでも言っておかないとこの禁断の部屋に入る度胸が僕にはなかった。


 ノックを二回した後、返事が全くないのでこっそりドアを開ける。

 そろっと中には入ると、すうすうと寝ているリリエラさんの姿があった。


 今の僕は女の子……。

 今の僕は女の子……。


「リリエラさん、朝ですよ……」


 向こうを向いたパジャマ姿のリリエラさんを毛布越しにゆさゆさと揺らす。


「ん……」


 もう一度少し大きめに揺らすと、毛布越しに()()()()()()()が一緒に揺れた。

 やめろ……今の僕は女の子なんだ。

 余計なことは考えるな……。


「ん……メリッサ……あともうちょっと……」


 僕のことをメイドさんと間違えているのだろうか?


「ほら……起きてください……。皆さん待っていますよ……」


 やがてゆっくりと目を開けるリリエラさん。


「おはようございます、リリエラさん」

「……ああ、そういえば……」


 朱雀寮に来ていたことを思い出したようだ。


 布団から起きて身体を起こしたとき、パジャマが着崩れて下に着ている布地がちらりと覗かせていた。


「っ!?」


 ばっと横を向く僕。


「ふあぁ……おはようございます……シエラさん(ひえらはん)


 僕のことなど気にせず、呑気に伸びをするリリエラさん。


「は、早く着替えて下に来てくださいっ!皆待っていますから……」

「ごめんなさい……朝は弱くて……」


 エレノア様の目覚ましですら起きないなんて、相当弱いのだろう。


 むくりと起き上がるとそのまま服に手を掛け……


「ちょっ!?」


 顔を反らすもそのままばさりとパジャマを脱ぎ捨てる音が聞こえてくる。


「お、起こしましたからね!着替えたら下に来てくださいねっ!」


 そう言い捨てて僕はリリエラさんの部屋を出てドアを閉める。




「うう……()、最低だ……」


 心のなかでリリエラさんごめんなさい、ルークさんごめんなさいと交互にお経のように唱えながら、僕は下の階に降りていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ