表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
1148/1282

第904話 宿命

 な、どうして……!?


『ソラの考えていることで、私に分からないことなんてないわ』


 真っ直ぐに指を指され、僕の所在を言い当ててみせた。


「…………」


 どういうことだろう?


 考えろ、僕。


 絶対どこかに根拠があるはず。


 臭いも消したし、足音も消した。

 それに邪神にすら気付かれなかった実績もある。

 なのにバレた。


 たとえ一体化(インテグレーション)の術者が青龍から鳳凰に変わったとしても、それくらいでバレる要因にはなり得ない。

 いくら僕の姉でも、弟がその空間にいるだけで場所が把握できるなんてことはあり得ない。

 そうじゃなければ、同じ家の中にいて毎回僕を呼んだり探したりせずに自分から会いに来るはずだ。

 音や振動、視覚などの五感のうちの何かしらに頼っているはずだ。


『ふふ、まだ隠れたフリして、本当に愚か♥️愚かだわ♥️』


 でも、ここに来て姉が変わってることなんて、見た目をエルフに……。


「ま、まさかっ……!?」


 大事なことだったので、「眷属憑依」と唱えてシルヴィを乗り移らせる。

 そこで透明化は解除されてしまったが、僕の予想通りの最悪の展開がそこにあった。


『ほら』

「嘘……そんな、ソラ様が……見破られた……!?」




 名前:奏星空

 種族:ダークハイエルフ 性別:女

 ジョブ:魔族 LV.100/100

 体力:-/- 魔力:1250/1500

 攻撃:1500

 防御:1500

 知力:1500

 魔防:1500

 器用:1500

 俊敏:1500


 スキル

  闇属性魔法[極]・無属性魔法[極]・魔力視


 加護

  邪神メフィストの加護




 聞いたことのない新しい種族、ダークハイエルフ。

 でも今はその種族に心当たりしかなかった。

 そう、ハイエルフには種族スキル、『魔力視』がある。


 彼女は隠れている僕の、魔力を見ていたのだ。


「『まさかこのためだけに、()()()()()になったとでもいうのか……?』」

『当たり前じゃない。どこに隠れても、誰が隠しても、この世界にいれば魔力さえ見えれば見つかる。そんなことすら分からないなんて』


 恍惚に満ちた顔をする姉。

 僕が死んだことを察してこの世界まで追ってきて、


『ふふふ、本当に愚かなんだから……♥️』


 エルーちゃん達に耳責めをされたときとは違う、ぞくりとする感覚。

 火山の中だというのに、寒くて、鳥肌が立って仕方がない。


 どうして忘れていたのだろう。

 これが、恐怖という感情だった。


『『  本当に偽者だったのか……。ではこの偽者は誰だ?  』』

『あら、実の娘を忘れるなんて、あなたも薄情者ね。私なら弟は絶対に見分けがつくわ』

『『  ああ、出来損ないはここに居たのか……  』』

「ひ、ひいっ……!?」


 アビスさんが、飛び退いてエルーちゃんの方に逃げていく。

 どうやらあちらは演技だったらしい。


『 ほ ら ソ ラ 、 こ っ ち に 来 な さ い 』

「……う、うん」


 僕は姉には逆らえない。

 前世から、そういう宿命だった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ