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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第900話 冥府

氷地獄(コキュートス)

「「「「煉獄焔(インフェルノ)」」」」


 氷の軍勢と焔の軍勢が騎馬で責め合うみたいにぶつかり合う。

 相殺できているのでまだ大丈夫だが、神獣の水魔法の加護つきで、鳳凰の七魔覚醒によって威力が三倍になっている水魔法が分身三人がかりで溶かされるなど、本気の邪神は僕の想像以上の存在だった。

 

 辺りが湯気にまみれていているなか、横やりをいれたのは凛ちゃんだった。


天剣(セレスティアル)天罰(・ジャッジメント)!」


 光の剣の群れが列をなし曲線を描いて邪神の分身の一体に飛んでいく。


 一撃が危険なのは、お互い様だ。

 僕たちに闇属性が有効なのと同じように、聖女の攻撃である光属性こそが邪神への有効打になりうる。

 そして魔法を放ったクールタイムの合間に攻撃する手法はやはり通用する。


 この魔法で産み出された剣は直撃すればその場で剣が身体中を巡って侵蝕していく類いのもの。

 だから刺されて終わりではなく、邪神にとって毒でしかない光属性の剣がずっと突き刺していく。

 粉々になるまで身体を蝕むはずなので、分離していた分身を本体と合体させれば


「『小賢しい真似をぉぉぉぉおおおおお!!!!』」


 剣を浴びた分身の一体は、地響きを雄叫びを上げながら


「『分かったぞ、聖女ソラ。よもや貴様、アビスに逢ったな……?』」

「…………」

「『我輩に()()を返す気だな?』」

「っ!?」


 僕の……いや、僕たちの作戦がバレたようだ。

 でも、だからといって僕のやることは変わらない。


 分身が半分になった邪神は分身するのをやめ、奥の手に手を掛けた。




「『  ―― 冥府覚醒ブレス・オブ・アンダーワールド  ――  』」




「「「ッ!?」」」

「きゃぁっ!?」


 大量の魔力を消費しながら地獄の異空間に溜めていた力を空間魔法で無理矢理引っ張って来ることで、短期決戦を迫ってきた。

 その倍率は、魔力量以外の全ステータスを五倍。

 使っている間、異空間から引っ張ってくる関係で他の空間魔法は使えず、テレポートは行えなくなる。

 だけれどそれはもはやデメリットでもなんでもない。

 テレポートなどできなくとも圧倒的な力を持っているからだ。


「天剣天罰ッ!!」


 身体中から溢れだす闇属性の魔力そのものが盾となり、剣は蝕むことなく消し去ってしまった。


『『  効かぬわッ!!!  』』


 拳をつき出す動作をすると、その拳から半径10メートルの

サイズの闇の魔力で固められた拳が飛んできた。


「っ!?」

「「リン様っ!!」」


 それがあまりにも早すぎたので、衝撃波が出てしまい、凛ちゃんはそれに直撃した。

 闇の魔力を直接受けたわけではなかったが、装備品や身体強化、鳳凰がいなければ即死していたに違いない。

 ふわりと風が凛ちゃんを受け止め、支えてくれた。


「最後まで、立つのがオトメのイキザマよ!」

『『  死ね  』』


 体勢を崩した凛ちゃんに拳がやってくる。


「仕方ないさね」

「もう、やんなっちゃうわ!」

「白虎様、ユニコーン様っ!!」


 彼らは朱雀のようにその身体を雷と風の魔力そのものとなって相殺した。


「そ、そんな……!」

「くっ、神獣様達が一瞬で……」


 三倍になった神獣二柱の全力でやっと相殺できるその拳に、いったいどれほどの闇の魔力が込められていたのだろうか。

 神獣二体がかりでさえ、全力でぶつかった瞬間に消し炭になった。

 残る神獣は鳳凰だけ。

 もう二度と失敗は許されない。


『もう、うるさいわね……もっと静かにできないの?』


 その時、奥の部屋から新しい存在の声が聞こえてきた。


『『  遅いぞ、セイラ。何をしていた?  』』

『女には支度ってものがあるのよ。そうでしょう?()()

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