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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第895話 下肢

「スタート地点に戻ってから、まだ一回も行き止まりになっていませんね」

「すごい、本当に覚えているんですね……」


 嘘だと思われてたのか……。


「流石聖女学園で歴代最高累計成績を修めた首席……」

「う……都合の良いところばかり切り抜かないでよ」


 悪いところを凝縮すれば、男子禁制の女学園に女装して潜入し、聖徒会長として三年間隠し続けたばかりか、在学中の学園の令嬢に次々に手を出した優柔不断な変態男でしかない。


「関係ないよ。単に好きなことだから覚えているだけ」

「ですけど、20もの迷路の全ルートを覚えるのは、『好きだから』だけでは到底できないでしょう?」

「リン様」

「……」

「……?」


 記憶を共有したエルーちゃんと涼花さんはそれが禁句だとでも言うように口をつぐんでしまった。

 別に、婚約者に隠すことでもないので、気にすることじゃないんだけどな。


「まぁ、昔から『覚えて忘れない』のだけは鍛えられましたからね……」

「あっ……」


 凛ちゃんが時間差で気付いたようだ。


「す、すみませんでした」

「気にしないで」


 そうやって触れられない話題になる方が正直辛かった。


「床舐めときます」

「床は舐めなくていいよ……」

「じゃあ靴……」

「床も靴も変わらないでしょ。汚いからやめなよ」


 本来床や靴は汚すものなのよ。


「じゃあ、おみ足……いや、できることならストッキングのデニール数を感じながらペロペロと……」

「変態……?」

「はぅっ……!」


 なんで舐めたがるの……?


「もしかして、リン様……そういうのがお好きですか?」

「確かにかわいい人の足は舐めてみたいかも。エルーちゃんも……」

「わ、私もですか……?」

「二人のストッキングと生足は両方味わってみたい、かな」


 妖怪足舐めじゃん……。

 婚約者が多いと性癖も様々だ。


「わ、私にもその極意を……!」

「少し気になるね……」

「性癖を広めるな、性癖を……」

「ソラ様は足でするの、お嫌いですか……?」

「う……まだやったことないけど、嫌いでは……ないと思う」


 エルーちゃんの足は綺麗だから……。

 って、舐めるって話じゃなかったの?


「そしたらエルーちゃんが足で天先輩とした後に、私達がその足を堪能すれば……」

「ふむ……」

「それは天才ですね!」

「ふ、不潔だよぉ……」

「天先輩に不潔なんて概念ないですから」


 恋は盲目……。


「あれは、クラッシュボア!」

「フシュー……フシュー」


 通路の角から現れた巨大なイノシシは僕たちの存在を確認すると、猛突進してきた。


<ハープちゃん、あれやるよ>

<旦那様の御心のままに>

<お、あれをやるのか!?>


 いつも呆れられていた気がしたけど、今日は何故か積極的だ。


「――眷属憑依――」


 龍天使の姿になった僕は、手を菱形の形にする。


「「『――リフレクション・フルバースト――』」」

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