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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第12章 韋編三絶
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第88話 来訪

 サクラさんの生誕祭が終わり休日が明けた。


「来週から、中間考査ですよっ!」

「「うぇぇ……」」


 クラスの皆は阿鼻叫喚だ。

 それもそのはず、中間考査と年度末考査の合計点次第で来年度のクラスがSクラスから落ちる可能性があるからだ。


「各自変な点をとってクラスが落ちることのないよう、勉強は怠らずにっ!」


 ホームルームが終わりてとてとと去るマリエッタ先生が部屋を出ると、帰りの支度をしながら皆は雑談を始める。


「シエラさん、お願いがあるので後で寮に伺ってもよろしくて?」

「はい、構いませんが……」


 リリエラさんからお願い?

 なんだろう?


 よく分からないけど、ひとまずソーニャさんとエルーちゃんと一緒に帰る。


「リリエラさんのお願いってなんだろう……?」

「勝負したい、とか?」

「それはわざわざ言う必要は無いんじゃ……」

「敢えて言うことで自分を奮い立たせる目的があるかもしれませんよ?」


 うーん……そうは言っても、わざわざあの場で言わずに寮に来る意味があるとは思えないし……。




 寮に戻ると、共有スペースにはエレノア様とフローリアさんがいた。


「……ミア様は?」

「ああ、部屋に籠ってるよ。毎回テスト前はああなんだ」


 溜め込んでやるタイプなのだろう。


「……エレノア様は、本当にテスト勉強しないんですね」

「その言い方には語弊がある気がするよ。ボクは日頃の授業で耳にいれたことを覚えているだけさ」

「記憶力どうなってるんでしょうか……?」

「脳の中を見てみたい」


「……てっきりシエラ君はこちら側だと思っていたが……」

「こちら側て……。まあ半分以上の教科は軽い復習で済みますが、聖女史はあちらの世界にはないですから……」


 聖女学園の入試は日本語、英語、地理、歴史、数学、科学、クラフト学、魔物学、魔法学、戦闘実技の10教科だったけど、日本語のテストは入学してから公用語が日本語になるためだ。そのため学園に入ってからの教科は残りの9教科に聖女史を含めた10教科となる。


 僕の場合はゲームの内容で説明できる教科はほとんどやる必要はなく、すると残るは向こう世界の教科と被る英語と数学と科学と聖女史となる。


 更に僕の場合は面倒なことに、高校一年生の一学期までは向こうの世界で勉強していたため、英語と数学と科学については試験範囲がもろ被りだ。


 すると僕は残りの聖女史1教科さえして勉強しておけばよくなるという大変ズルい状況にあった。




 雑談しているとシェリーとセフィーが帰ってきた。


「ただいま戻りました」

「おかえりなさい、シェリー、セフィー」

「お邪魔いたします」


 リリエラさんと一緒に来たみたいだ。

 相変わらず仲がいい。


「先程ぶりですね、シエラさん、エルーシアさん、ソーニャさん。しかし二人を愛称で呼ぶなんて、仲がいいですわね。嬉しいですけど、少し妬けてしまいます……。シェリルとセラフィーを知ったのは私の方が先ですのに……」


 まあシェリーもセフィーも当時の立場上、仕方なかったところはあると思う。


「リ、リリエラ様さえよろしければ、呼んでください!」

「お義母様からいただいた愛称ですので、是非……!」


 そんなに気に入ってくれたことは嬉しいけど、お義母様呼びはやめてって言ったのに……。


「そう、新しいお義母様であるソラ様が……。シェリー、セフィー、改めてよろしくお願いね。それにしてもお義母様とも仲がよろしいのね、羨ましいわ。私もまたお会いしたいものね……」


 むしろ毎日会って話してるんだけどね……。




「お邪魔いたします」


 共有スペースに入ったリリエラさんはフローリアさんに挨拶をする。


「ああ、いらっしゃい。確か……リリエラちゃん、でいいかしら?」

「はい。リリエラ・マクラレンと申します」

「話は聞いているわ。私はここ朱雀寮の寮母フローリア。よろしくね」

「はい。よろしくお願い致します」


 深々と挨拶するリリエラさん。


 んん……?

 話ってなんのこと……?


 


 姿勢を正したリリエラさんの口からとんでもない台詞が飛んできた。


「試験期間の間だけですが、二週間程こちらでお世話になります」

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