第859話 終活
<――冬が去り清々しいほど晴れた春、私たちは無事一人残らず卒業する運びとなりました。入学当時、来賓祝辞としてここにいらっしゃる卒業生の皆様にもお話しした「誰一人欠けることなく卒業する」をきちんと守ってくださったこと、聖女として、聖徒会長として、そしていち生徒として誇りに思っています>
もし一人欠けることがあるとすれば、それは僕自身だったことだろう。
女神エリス様のお願いという盾があるとはいえ、男の僕が三年間もこの女の花園に居られたことは、間違いなく奇跡に違いない。
<この学園では非常に大切な思い出ができました。初めて学友や親友と呼べる方々ができました。そして友や先生方に導かれ、考え方を見直す素晴らしい機会をいただきました>
学ぶことはなにもないなどと言われたこともあるが、とんでもない。
あの時の僕は未熟で、自分が知った問題に対して全て自分一人の犠牲だけで済ませようと思っていた。
それがいかに無鉄砲で自分勝手であるか、今ならよく分かる。
<この学舎で共に過ごした学友と先生方のことは生涯忘れることはないでしょう。そして今後どんな艱難辛苦があろうとも、共に切磋琢磨した学園の皆様のことを思い出して前を向く事ができましょう>
テスト期間中、沢山の生徒や先生に「私たちも頑張るので、頑張ってください」と応援をいただいた。
お互いに進む道違えど、望む道は平和に続いている――
「ソラ様、御卒業おめでとうございます」
「ほら、上に立つんだからもう泣かないの」
「ぐすっ……ですが、もうソラ会長とお呼びできないかと思うと……」
「流石、新聖徒会長までタラシ込んでいる御方は格が違いますね」
「ソラ様なら変装すれば一年生に紛れ込んでも問題なさそうですけれど」
「何なら変装さえすれば中等学校生に擬態できそうですわね……」
言いたい放題だな、本当に。
いくら身長が低いとはいえ、流石に中等学校生に紛れるのは無理があるでしょう。
……あるよね?
「とにかく、学園は任せたよ、神流新会長、そしてルージュ副会長!」
「「はいっ!」ですわ!」
出立前、最後の日の夜。
「さて、今宵の伽の相手を決めることにしようか」
「今日くらい、明日に備えて寝ようよ……」
なんで男の僕よりみんなの方が積極的なんだろう……。
「きっと皆様不安なのでしょう」
「それとも私達の旦那様は、それくらいの甲斐性もないのかしら?」
「うぅ……何人いると思ってるんですか?」
リカバーで復活すれば魔力のもつ限り無限にできることはできるけど、流石に12人一気に相手するのは何か違う気がする。
「僕達は全員で生きてここに帰ってくるグループだよ。僕とだけお別れの挨拶をするのはおかしいんじゃないの?」
「そうかもしれないけど、一番最初は全員で愛してあげるわ」
「わっ!?ちょっ……やめてぇっ!?」
12人にまるで身ぐるみを剥がされるように脱がされくまさんベッドに連れ去られると、そのままベッドに押さえつけられて身動きができないところを一斉に襲われる。
「ふぅーっ」
「ひぁっ……」
「されるがままのソラ様、世界で一番可愛らしいです」
そこから耳の先から足の裏まで全ての部位が12人がかりでえっちな気持ちにさせられていくのに時間はかからなかった。




