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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第839話 現人

「神体が奪われた……?」

「そうよ。神体を手に入れた邪神は、もうあなたの知る邪神じゃないのよ」

「あれ以上に強いと言うことですか?」

「ええ。光属性に弱いことには変わりないけれど、それ以外の属性耐性もあれば、光属性以外の属性はすべて使ってくると思っていていいわ」


 できれば早く知りたかったけど、行く前に知れてまだ良かったのかもしれない。

 もしかすると僕はとてつもなく無謀なことをしようとしていたのかもしれない。


「そんなに強いのなら、どうして今まで人間の国へ攻めてこなかったのでしょうか?」


 体を乗っ取って強くなったのなら、そのまま人間国へ攻めれば良かったはず。

 わざわざ数万年も南の国の奥地に逃げていた理由は何なのだろうか?


「詳しいことはわからないけれど、おそらく私の神体を馴染ませるのに苦労しているんじゃないかしら。あの身体は光属性をたくさん纏っているから、邪神にとっては身体に毒よ」

「なるほど……それにしても神体を手に入れて数万年馴染ませるくらいなら、単純に魔力ためて魔物の数の暴力で攻めた方がいいと思うんですけど……」

「私の弱体化をすることで戦力を削ぐ目的もあるから」


 それでも効率悪い気がするなぁ。

 いやまぁ敵にアドバイスしてどうするんだって話だけどね。


「ともかく、ソラ君に行かせたくない気持ちは分かってくれたかしら?」

「はい。でも、尚更後回しにはできなくなりました。手遅れになる前に、あれを倒すために最善を尽くすべきです。私にも考えがありますよ」

「どうするつもり?」

「今は文明の利器がありますからね。セインターで麒麟の絵を描いて拡散希望で世界中から目撃情報を募るんですよ」

「な、なんて恐ろしいこと考えるのよ……!?」


 一応土の聖獣ドリアードならば親子同士のダウジング機能があるらしい。

 ただ近くまで行かないと反応しないので、リアを召喚して探すなら各国を片っ端から巡ってひたすらダウジングするしかない。

 SNSがなければそういう手段もとるつもりだったが、そうならなくてよかった。


「だから結局私は麒麟にたどり着くことはできますが、早くに会いたいんです」

「でもだって……一日でも長くソラ君には生きて欲しいから……」


 その優しい言葉だけで、僕には十分だ。

 元々死ぬだけだったものを拾われた命だ。


 ……僕は最終手段を取ることにした。


「エリス様、私に教えてくれたら、お礼に今日だけ特別に愛し合いましょう」

「…………は?」

「事前に天庭に聖女もシルヴィも誰も来ないように全員にお願いして回っていたんですから。今日だけですよ、こんなことするの……」


 天庭は聖女ならば誰でも入れるけれど、それはおそらく聖女が神霊体を埋め込まれているからこそ入場許可があるのだと思う。

 これも神体が元に戻れば、エリス様の方で自由に入場制限はかけられるようになるのかもしれない。


「でも、でもでもっ!ソラ君的には舌足らずな0歳児が一番ツボなんでしょう?」

「誤解を撒き散らさないでください。あなたのせいでとんでもない誤解が世にはびこっているんですから」

「誤解じゃないでしょう?こんなうん万年生きた年増なんて、対象外でしょう?」


 ロリコンに親でも殺されたの?

 いや、神様の親って何だ?って話だけど。


「いいから、私を貰ってください、エリス様」

「う、ううぅ……本当に、ずるいわよ……」


 あらかじめ決めていたこととはいえ、僕が少し強気になるだけで及び腰になるこの優しい女神様が僕は大好きで、まだ立ち上がれない彼女の代わりに抱き締めてリードしてあげることにした。

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