表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
1064/1282

第837話 麒麟

 僕たち聖女が同時に生き残っていれば生き残っているほど、エリス様の神霊体が削られて、どんどん弱くなってしまう。

 確かに異世界からいくらでも聖女を召喚できるのなら、間髪いれずに召喚しまくって数の暴力で邪神を倒してしまえば良くなる。

 でも流石にそうは問屋が卸さない。

 流石に聖女を召喚するだけならまだしも、その聖女に権限を渡すのに何も無条件なわけにもいかない。


 僕たち聖女がこの世界で権威をもっているのも、他の人たちよりも強い最上級魔法を使えるのも、エリス様の神霊体がこの魂の一部として担っているからだ。


「今、エリス様はどのくらい弱くなっているんですか?」


 現在存命の聖女は五人。

 過去でも最大三人までだったらしいから、過去にないほど弱体化していることははっきりしている。


「思っていたより疲れがひどくなっているみたいね……五人で一人の時の半分以下まで減っている感覚かしら?」


 魂の半分以上がなくなっているなんて、いったいどんな感覚なんだろう?

 人の心の許容量は様々かもしれないけど、心の弱い今の僕には到底耐えられなさそうだ。


「もう、頑張りすぎですよ……」


 顔をゆっくりと抱き締める僕。


「ソラ君のいいにおい……」

「沢山頑張ったんですから、あとはもう私達に任せて休んでください」

「そうね、そうするわ」

「ちなみに前世に何しに行ってたんですか?」

「それは……内緒よ」


 ということは、僕関連なのかな?

 でも僕関連ってもう何もないような……。


「次の聖女とかはやめてくださいよ?」

「それはないから安心して。で、ソラ君の用件はなにかしら?」

「もう大丈夫なんですか?」

「休んでいても仕方ないもの。治るようなものじゃないしね」


 確かに病気ではないから、治すことはできないのか。


「でも、そうなると今後聖女増えるとエリス様が消えちゃうんじゃ……」

「大丈夫よ。これも邪神が消えるまでの辛抱だわ」

「えっ……」

「主っ!」

「あ……」


 なんだろう?

 まだ僕に何か隠していることがある……?


「何でもないわ、気にしないで」

「……」

「では、私はこれで……」

「あ、逃げたわね」


 シルヴィが追求を逃れるように逃げたけれど、本当は僕のためにここから立ち去ってくれたんだと思う。


「エリス様、最後の神獣、麒麟の場所を教えてください」

「やはりそうなるわよね……」


 邪神の討伐に関して、ゲームなら聖女本人とハープちゃんの二人で攻略することになる。

 でもここはこうして朱雀やスフィンクスなどの他の神獣が一緒に戦ってくれる世界線。

 そうなれば、一番邪神特効の高い存在に協力を仰ぐことは全員無事で攻略する上で重要なことだ。

 けれど問題なのは神獣麒麟が徘徊型の神獣であることだ。


 神獣の中でも朱雀、鳳凰、麒麟は徘徊型で、基本どこにいるかわからない存在だ。

 でもこれまで朱雀と鳳凰には会いに行かずとも向こうの方からきてくれていた。

 もし向こうから会いに来てくれなくとも、朱雀はアツい存在に惹かれるらしいし、鳳凰に関しては徘徊型とはいえ食事の時間の時は虹ミミズの生息地に向かうので、その辺を意識していれば必然的に合うことは可能だ。

 対して、麒麟は何のヒントもなく、正真正銘の神出鬼没。

 どこにいるか皆目検討もつかない。

 会えること自体が希少すぎるんだよね。

 正直今まではあまり会う必要もなかったんだけど、いざ会いたいとなると話は変わってくる。


 そしてそのランダムエンカウントの現在地を把握するのが、神獣麒麟の産みの親でもあるエリス様なのだそうだ。


「土の神獣は今どこに?」

「駄目よ、教えられないわ」


 エリス様は真面目な顔でゆっくりと首を横にふった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ