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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第831話 研鑽

「今度は聖女親衛隊の皆さんの訓練所に来ました。ごきげんよう、涼花隊長」

「ごきげんよう、ソラ様。何かあったのか?」

「いえ、セインターを始めたので、みなさんに聖女院の施設紹介の動画を撮っているんです」

「ああ、あの煩雑な魔道具か……」


 そんなに煩雑かな……?

 サクラさんほどは酷くないけれど、涼花さんも相当な機械音痴の民の者だ。


「今は何をしていたんですか?」

「見ての通り、連携の強化さ」

「相手は……シルヴィとハープちゃんか」

<<そこ、体勢が崩れてる!>>

「は、はい!」

「――土刀・陸の舞、陰地蕨(はなわらび)――魔法隊、発動に時間がかかりすぎている!」

「「「冰雷の炎!」」」


 僕の親衛隊が、ハープちゃんとシルヴィが合体した存在と戦っていた。

 確かに藤十郎さんの言う通り前衛との連携的には間に合っていないけれど、三人連携合成魔法をこの速度で発動できるのは素直にすごいと思う。

 理想としては余裕をもってもう少し練度を上げておきたいけれど、この速度なら魔境でも十分通用すると思う。

 

 シルヴィとハープちゃんの二人は今や僕がいなくとも合体できるようになっていた。

 本来ならば僕なんかいなくとも合体できるんだけど、お互いのプライドがそれを絶対に許さなかったらしい。

 あれだけいがみあっていたのに、これだけ心を通わせ合えるのだから周囲としてもびっくりものだろう。

 まぁ今でも結構お互いにキツい物言いだけれど、それも何千年何万年と続く二人の間柄ならではの関係なんだと思う。


<<お、奥方様!主っ!>>

「わ、わわっ!?」


 ハープちゃんの意思に引かれたのか、大きな体でまるで犬のように僕に抱きついてくる。


「「総督、お疲れ様ですッ!」」

「じゃ、邪魔しにきたわけじゃなかったんだけどな……」

「そんなそんな、総督がお邪魔になど、ありえません……!」

「正直総督って言われるの、むず痒いんですよね。ほら、そういう柄じゃないというかなんと言いますか……」


 自分で言うのは虚しいことだけれど、事実は事実だからね。


「我々の血や肉体、魔力に至るまで、総督が鍛え上げたものでございますから」


 そんな皆して捨てられた猫みたいな顔しないでよ。

 否定する僕が悪いみたいな流れになっちゃってるじゃん。


「ともかく、これが私の親衛隊です。涼花隊長、普段は訓練以外にどんなことをしているんですか?」

「ああ、訓練は続けてくれ」

「はっ!」

「ほら、ハープちゃん達も」

<<……仕方ない>>

「そうだね……聖女院の他の研究部の希少素材の入手や聖女様の護衛、外部の脅威の排除活動等が主な活動だ。得に今は世界的脅威である魔境攻略のために研鑽を積んでいる最中といったところかな」

「魔法や技の練度に関してはひたすら発動するしかないから、こうして実践でひたすら放つことは大事なことなんですよね」

「ああ、その通りだ」


 前世と違って、頭打ちはあれどやればやるだけその魔法や技がつよくなっていく。

 近道はないけれど、遠回りもしなくて済むというのは、この世界に来て良かったと強く思える部分なのかもしれない。


「涼花さん、ありがとう。じゃあ次に行きましょうか。今度は、食堂に向かいますね!」

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