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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第811話 粗相

「ソラ様、明けましておめでとうございます」

「ホークスお義父さん、テレシアお義母さん!明けましておめでとうございます」

「娘が粗相をしてはおりませんか?」

「もう、お父さん!恥ずかしいこと聞かないで……」


 エルーちゃんの家族を見ているとなんだかほっこりする。


「恥ずかしいということはまさか、本当に粗相を……!?」

「お父さんっ!」

「……ノーコメントで」

「ソ、ソラ様!?」

「な、なんてこと……!?」


 僕を怒らすようなことはしていないけれど、エルーちゃんが()()()()粗相をしてしまったのは事実ではある……。

 家族に嘘はつけないけれど、エルーちゃんの秘密は守っておきたい気持ちもある。

 ほぼ透けて見えてしまっていたような気もするけれど。


「でも私の方が粗相しているし、それに粗相してるエルーちゃんも可愛いから……」

「なっ……!?ソラ様の粗相の方が可愛らしい癖に……!」

「なぁっ!?」

「二人とも可愛いのは分かっているから、そこまでにしておきなさい、二人とも」

「はぁい……」

「涼花様がそう仰るなら……」


 恥辱暴露大会会場になりつつあるのを、涼花さんが諫めてくれた。


「うふふ、あのガードの堅かったエルーが目の前で惚気るなんて、歳は取ってみるものですね」

「お、お母さん……」

「テレシアお義母さんはまだお若いでしょうに……」

「あら?嬉しいことを言ってくださいますね」

「ソラ様……?まさかお母さんまで手篭めに……」

「いや、そんなわけないでしょ」


 何言ってんの、エルーちゃん?


「ブルーム様がお出でになりました」

「明けましておめでとうございます、皆様」

「ブルーム様、明けましておめでとうございます。此度は我が家のパーティーにお越しくださりありがとうございます」

「いえいえ、私は涼花の家族として来ただけですから。こちらこそお招きくださりありがとうございます」

「いやぁ、その腰の低さ、我々も見習っていかねばなりませんな……」

「公爵様は今でも十分腰が低いお方かと思いますが……」

「私からみたらどっちもどっちだと思うよ……」

「ふっ、それ、ソラ君が言うのかい?」


 確かにブルームさんとかには何度も土下座したかもしれないけど、最近の僕は眷属憑依で腰低くないと思う……。


「全く、本当ですわ!シュライヒ家は公爵位だというのに、全員腰が低いのですから!」

「リリエラ、あなたもソラ様の義姉(あね)を名乗るのなら半分はシュライヒ家の一員になるのですから、そういう物言いは……」

「そういう弱気な姿勢を見せるから、ルークは仕事を沢山抱えてしまうのです!」

「リリエラさんに、ルークさん!」


 そこには赤ん坊を抱いたリリエラさんの姿があった。


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