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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第808話 煩悩

 2日の昼頃、僕たちは婚約者達と一緒にザビアー家の経営する神社へ初詣に来ていた。


 婚約者のみんなで可愛い着物を着て、色違いでお揃いの(かんざし)を付けていた。

 昨年の元旦みたく十二単(じゅうにひとえ)ではないものの、当たり前のように女性用の着物を着せられるのに馴れてしまったのはなんだか悲しい。


 でも最近はちょっと考え方が変わって、こんなろくでもない女装姿でも、案外「まあいいか」と思えるようになってきた。

 これは医師からされた「徐々に自己肯定感を上げるため、まずは御自身のことを否定するのをやめて受け入れましょう」というアドバイスも一つの要因だ。

 今までは女装をしている自分のことなんて気持ち悪いという考え方が先行していた気がする。

 もちろん家族や学校の周りのみんなから何年もそういわれ続けてきたから、おそらく僕のこの格好は賛否を呼ぶんだと思う。


 それでも多少なりとも肯定できるようになったのは、僕が女装(これ)でどれだけ稼いでいたかということをシルヴィや凛ちゃん達に懇切丁寧に教えてもらったからだ。

 二人が言うには、僕があの世界で視点が狭く見えていなかっただけで、僕の女装が好きだというお兄さんお姉さんのファンの方々が沢山いたらしい。

 今となってはもうそれが僕の目に見えることはないけれど、案外あの世界も捨てたもんじゃなかったということが分かってよかった。


 それを差し置いても、こうして女装してお化粧してお洒落していると婚約者のみんなが喜んでくれるし、それでいいかと納得している自分がいる。

 自分がいつ死ぬか分からないことを考えると、皆を笑顔にしている時は生の実感があるんだよね。


 そう、決して僕が女装を受け入れているわけじゃないよ。


 ほんとだよ。


「嫌よ嫌よも好きのうちと言うではありませんか」

「いいから、お賽銭入れて手を合わせるよ」

「今年はソラ様と四十八体位全てをコンプリートできますように……」


 年明けまで煩悩を残してるんじゃないよ。

 というか体位なんて知識、どこから……。


「第81代聖女、白瀬珠様でございます」

「……忍ちゃん、毎回思ってるけどさ、心読んでくるの、普通に怖いからね?」

「私は四六時中ソラ様のことを考えております故」


 愛が重すぎる。

 でも愛が重くなったのもあの一件以降のことだから、忍ちゃんにも心配かけたんだろうな。


「煩悩チョップ」

「私の煩悩のストックは、108などでは納まりきれませんから。一分に一つは増えていると思ってくださいませ」


 キメ顔で言ってるけど、何も格好よくないからね?

 もう大晦日どころじゃなく、毎秒除夜の鐘を突かないと忍ちゃんは綺麗にならない気がする。


「ソラ様の除夜の鐘はいつでもお突きいただいて構いませんよ」

「あなたはまず仏教に謝りなさいよ」


 突いたら突いたであなた、煩悩増えるでしょうが。


「いいからホラ、手を合わせるよ」


 今年は皆と健やかにいられますように。

 僕は手を合わせてそうエリス様に祈ることにした。

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