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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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閑話216 骨抜き

【橘涼花視点】

「おはよう、エルー君」

「おはようございます、涼花様。お早いですね」

「ソラちゃんに寝顔は見られたくないからね」

「ソラ様の御前ではお洒落なさる涼花様も素敵ですよ、んっ」


 エルー君が私についばむようにキスをしてくる。

 こういう時は欲情が溜まっている時だということは、数ヶ月付き合ってきて分かってきた。


「んっ、エルー君、発散した方がいいかい?」

「す、すみません、涼花様……。こんなえっちなメイド、お嫌いになりましたか……?」

「前にも言っただろう?私はソラちゃんだけを好きなんじゃない。一番目はソラちゃん、二番目にはシエラ君のことが好きではあるが、三番目に好きなのはエルー君さ」

「んっ……意外です。ソラ様と同じく、可愛いもの好きですから、てっきりマリエッタ先生の方がお好みなのかと……」

「マリちゃん先生は私にとってはとても消化しきれない甘すぎる果実だよ。可愛らしいことには同意するけれど、私はそういう目では見れないな。それに私はエルー君とソラちゃん、世界一お似合いで世界一可愛らしい二人のことを等しく愛しているからね」

「涼花様ぁっ……!」


 口付けを首に落としていくと、私たちは暫しの波に溺れていった――




「――また天先輩が寝てるときにしてる……」

「こうして見ると、涼花様ってとても引き締まっていてえっちなお身体していますよね。お胸もお尻もとても大きいですし、腹筋もあって、正直見ているだけでそういう目をしてしまうエルーシア様やソラ様のお気持ちも分かる気がします」

「はぁ、はぁっ、リン様、東子君もおはよう。こうやって面と向かって言われると恥ずかしいな……。ソラちゃん達に褒められるより前はこんな脂肪の塊、刀術の邪魔になるだけだと考えていたのだがね」

「はぁっ、はっ、お分かりになりますか、東子ちゃん!そうです、お二人もご一緒に……いかがですか?」

「こらこら、同意もなく巻き込んではいけないよ」

「いえ、私は流石にそういう趣味は……!いや、でも……天先輩と涼花さんとエルーちゃんは全員双方向に好意が向いてる三角関係だし……私も混ざった方がいいのかな?天先輩もその方が喜ぶかな……?」


 初めてを既にしたというのに、私たちにはない健気さがリン様にはあるようだ。


「それに天先輩のテクニックはエルーちゃん直伝だって言うし……それはちょっと気になるかも」

「リン様も是非!エルーシア様の可愛いお手々から繰り出される手練手管には私も骨抜きにされてしまいましたからね!」


 獣人種の二人もそうだが、エルー君は悉く婚約者達を手篭めにしていくな……。

 リン様が「じゃあ……」と一瞬乗り気になりかけた時、事件は起きた。


「うっ、ぐぅっ!?」

「「ソラ(ちゃん)!?」」


 そこには、自分で自分の首を絞め付けていたソラちゃんの姿があった。

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