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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第799話 氾濫

「『『……理由はわかった』』」

「……!」

「『『だが、エルーに言った事を二度言わせるな。足手まといは必要ない』』」

「っ、来ます!」

「『『――雷光の交わりよ、交差する祝福よ、今我与えし祝福が全てを貫く双槍となれ――』』」

「次が来る前に、攻撃を!」

『――!』


 もう遅い。


「『『――クロス・ライトニング!!――』』」


 再び全体を包み込む光の柱と鳴り止まぬ警告音が響き渡るも、エルーちゃん達のブザーはまだ鳴っていなかった。

 この短期間で全員カンストにするのも難しいのに、このステータスの僕たちの全力の魔法を二回も耐えるとは、想定外だった。


「『『……まさか、二回目も耐えるとは。何をした?』』」

「フシャア!」

高圧水(ウォータージェット・)切断線(カッター)!」


 エルーちゃんがすぐにソーニャさんに乗って反撃をしてくる。

 ビーム系統の魔法は出も早く、無詠唱なら意表を突くにはもってこいだ。

 だから僕もディバインレーザーを重宝していた。

 ウォータージェット・カッターは発生の早いビーム系統の冷気魔法。

 水の高圧力は様々なものを切断するという、僕の前世の知識から着想を得たのだろう。


 ……本当に、エルーちゃんは僕を驚かせてくれる存在だ。

 不意を突くにはもってこいだけど、流石にそれくらいでやられる僕ではない。


「『『ライジングレーザー』』」

「「!?」」


 それは雷と光の上級合成魔法のレーザーで、ディバインレーザーの完全上位互換。

 それを羽根の数……1000発も煩雑に発動すれば、どんな人だろうと消し炭になる。


 やはり魔力を自由に使えるのなら、詠唱で一発毎にしか放てない最上級魔法より、上級魔法を連発する方が強い。

 いわば僕の、『クロス・ライトニング』の次の奥の手だった。


 ビィーーーー


 その瞬間は、呆気なく来た。




 司令塔のエルーちゃんと皆の力が合わさり、気を抜いていたら負けていた試合ではある。

 だけど僕はこの戦いに圧倒して勝たなければならなかったし、たとえ勝ったとしても、勝ちにかまけている場合でもなかった。


<「『『――会場にいる皆に告げる――』』」>


 拡声魔法で会場にいる皆に声を届ける。

 ここから僕は、民の皆さんを一人でも多く護るために立ち回らなければならない。

 僕がどれだけ人々の注意を引き付け、そしてどれだけ敵の強大さの印象を与えるかで、助かる命があることを信じて動く。


<「『『――魔王を倒し、世界は平和になったと思っている輩が多いようだが、それは真逆だ。今この世界は、何万年もの負債を抱えている――』』」>


 でも、不思議と緊張はしなかった。

 他人を演じることは僕にとって得意なものであり、それに今はこの身体に取り込んでいる二柱の魂を身体が、僕は一人ではないと教えてくれるから。


<「『『――貴様らは不思議に思わなかったか?どうして魔王は何度倒しても魔水晶がドロップしても()()するのか?どうして毎回復活すると結界の張ってある聖国の聖女院の近くに()()してくるのか?――』』」>


 問いかけ、考えさせる。

 ここにいるのは、それを考え民を守る側である貴族や将来要職に就く人達だから。


<「『『――もし魔王が転移魔法を使えるのなら、何故戦闘中に使わないのか?そう、使えないからだ。ヤツには協力者がいる――』』」>


 手を合わせ拝む人々に、僕はこれから世界で最も余計なことを言うつもりだ。

 それは、一神教を悉く覆す、最低最悪の一手だ。


<「『『――魔王の復活と転移魔法の助力をしたもう一柱がいる。その名を『邪神』。いつか私達聖女を殺し国を滅ぼし尽くすため、邪神は魔王やリッチに時間稼ぎをさせ、およそ数万年もの間魔力を蓄え続けてきた。そしてそれが今、解き放たれようとしている。蓄えた魔力とともに強大な魔物が軍隊となって押し寄せる、大氾濫(スタンピード)となってな――』』」>

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