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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
1012/1282

第797話 多重

「『『さあ、蹂躙を始めるとしよう――』』」




 名前:奏天

 種族:人種族 性別:女

 ジョブ:聖女 LV.290/100(+190)

 体力:1855/999(+1350)魔力:2049/999(+1350)

 攻撃:999(+1950)

 防御:999(+1050)

 知力:999(+1950)

 魔防:999(+1050)

 器用:999(+1050)

 俊敏:999(+1050)


 スキル

  光属性魔法[神]、無属性魔法[神]、雷属性魔法[極]、鑑定[極]


 加護

  女神エリスの加護


 状態

  眷属憑依 (シルヴィア・教皇龍)




 エルーちゃん達がチームによる強さを体現しているのなら、僕は二柱を吸収した個の強さを体現しているのだろう。


「『『――雷火の霹靂よ、大空の怒りよ――』』」

「!?まずいっ、リン様っ……!」

『っ!――煌めく白銀の星空よ、今ひと度吾に力を貸し与えたまえ――』

「『『――今我与えし祝福が悪しき者を束縛する枷となれ――』』」


 シルヴィを吸収したお陰で僕は雷属性の最上級魔法を放てるようになった。


「『『――パラライズ・エクレール――』』」

『――星の(ルミナ・)っ……大盾(アイギス)っ!――』


 最上級魔法の連発による魔力の急激な消費がしすぎたためか、苦しそうに放っていた。

 これは筋肉痛みたいなもので、普段から定期的に体内から魔力を放出していないと、急な魔力量の入出力に痛くなりがちだ。


 こういった痛覚はゲームだとないから、無視して考えちゃうんだよね。

 僕も三年になってやっと理解してきたけれど、一年生の頃は同じような感じだったことを思い出した。


「「きゃあああっ!?」」

「『『これが、超えられないステータスの差だ』』」

「はぁっ、はぁっ、まだまだ……!」


 魔法陣から麻痺効果のある雷が放射状に飛び出して辺りを包み込み、くらった相手を片っ端から動けなくする。

 知力3000の雷属性最上級攻撃魔法と、3倍した知力1000の光属性最上級防御魔法で丁度相殺したものの、その余波は衝撃波となって周囲に被害を及ぼす。

 段々僕の方が魔王に近づいているような気がする。


「『『そういえばリン、今度の掃討戦、貴様も来たいと言っていたな?』』」

「……!」

「『『婚約者であるエルーシア達はまだ分かるが、貴様はなぜそれを望む?』』」

「えぇと、その……!」

<あ、主……?その問答、必要か……?>

<えっ……当たり前でしょう!?柊さんはお世辞にも積極性があるとは思えない性格だし、それにあと数ヵ月で卒業する僕と違って、柊さんはまだ来たばっかりだよ。そんな死ぬ可能性のある戦地に送り出すなんて、簡単にしていいことじゃない>

<いや、そうじゃなくてだな……>


 ん?

 ハープちゃんは関係ないことには口を挟まないタイプだと思っていたけど……どうしてそんなに食いつくんだろう?


<旦那様、リン様とはもう少し話をした方がいいと思いますよ>

<シルヴィまで……>

「なんていうか……えぇと、だから……」

「『『……まさか、答えを持たずに行きたいなどと言っているわけではあるまいな?』』」

「っ!ち、違います!」


 う……このモード、シルヴィとハープちゃんの高慢さが口調に出ちゃうから嫌だな……。

 なんだか本来言いたいことを二重のフィルターを通して言っているような感覚で、とてもじゃないけど僕が言った言葉のように思えない。


 でも僕が言えた立場じゃないが、そんな曖昧な感情では一緒に行くかどうか以前に、背中を預けられない。


「『『ならば我の問いに答えるか、実力を示せ』』」

「!?次が来ます!」


 同じ最上級魔法ならステータス差がなければ相殺になる。


「『『――雷光の交わりよ、交差する祝福よ――』』」


 では、最上級()()魔法の矛と最上級魔法の盾なら、どうなるかは明白だろう。


「『『――今、我与えし祝福が全てを貫く双槍となれ――』』」


 右手に()の魔法陣を、左手に()の魔法陣をそれぞれ展開し手を合わせたとき、地下訓練場の黒い天井がピカッと白く光った。


「『『――クロス・ライトニング!!――』』」

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