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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第791話 独壇

「四人とも、おめでとうございます」


 1位はリリエラさん、2位はララちゃん、そして3位はオーロラ魔術女学園のアンジェリカ・エレメント男爵令嬢、4位がノエルさんだった。

 魔術大会も正直聖女学園の独壇場だと思っていたけれど、オーロラ女学園の子が3位に食い込むとは、意外だった。

 王家のララちゃんは冒険者な上、恐らく僕の弟子である二人の聖国女王にしごかれていただろうし、リリエラさんは白虎直伝で勝てるわけないのはわかるけど、ノエルさんが敗れるとは思っていなかった。

 賞金の入った封筒を渡す役を買って出たけれど、なんだかアンジェリカさんが好奇の目で見てくるような……。


「はああぁ……っ!こうしてあの大聖女様にお目にかかれること、光栄に思います!」

「そ、そうですか……?」

「はい!ソラ様がお書きになられた『魔術大全』、毎日何度も読み返しておりました……!」


 この子、本当に実力で上がってきたんだな……。

 しかも読んでそれを実践だけでここまでのしあがってきたのか。

 この子、結構凄い子かも。


「『魔術大全』のお陰で、私はこの成績を納めることができました!これも、ソラ様のお陰でございます!」

「ぷっ……ふふっ!アンジェ、ソラ様の前では別人のようですわね」

「ちょっ、リリエラ!私はべつにおすましなんてしてないわよ……」

「あれ?リリエラさん、お知り合いなんですか?」

「ええ。エレメント男爵家は北国だけど、領地同士が比較的近いから、父が外交の窓口になることも多くてね。だから国は違くとも令嬢同士、交流があるのよ。同い年ですしね」


 ほほう、意外な交友関係だ。


「ちょっ……大聖女様にそんなタメ口なんて!リリエラ、あなた頭のネジイカれちゃったの!?」

「いいんですよ、リリエラさんは親友ですから。アンジェリカさんも話しやすくしていただいて大丈夫ですよ」

「そ、そんな……!むむむ無理です!」


 リリエラさんの友人ならと踏み込んでみたものの、失策だったらしい。

 エレメント男爵家は北の国(フィストリア)の『死の渓谷』に近いところにあるらしく、だからこそ魔物を倒す機会も多かったらしい。

 実際エレメント男爵は『死の渓谷』から溢れ出た大型魔物の討伐をして貢献したことをきっかけにフィストリア王家から男爵位を授かったらしく、その強さは王家の折り紙付きだ。

 例外的な強さだったけれど、僕の計画にはそこまで大きな影響はなかった。

 だって、トップ8はアンジェリカさん以外全員聖女学園の生徒達だったからね。


「おい、なんだこの結果は!」

「あいつら、我々教師の顔に泥を塗るつもりか……!」


 お歳を召すほど自分の教え方一辺倒になってしまいがちなのはよくない傾向だ。

 そしてその責任を教え子に押し付けるなんて、本来なら教員として一番やってはいけないことだ。

 教員なら自分の分野にくらい明るく、常にアンテナを張って最新の知識に更新していくべきだというのに、一年前に僕が出した『魔術大全』すら読んでいないのでは正直話にならない。


 でも手っ取り早く危機感を持って貰うためには、こうやって教師達に挫折を覚えて貰う必要もあるだろう。


「ま、まぁいい……我々の本命は『武術大会』だからな……」


 計画通りにいってしまった反面、改めてその価値観の違いの重症さを知らされ、僕は溜め息をつくのだった。

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